ちょっと前の話ですが、イギリスに行ってきました。ブリティッシュ・ヒルズでも英語村でも栃木あたりにある英国風のコテージでも日本にある他の「ニセ英国」でもなく、死ぬまでに一度は訪れてみたかった本当のイングランドです。行き先は、森薫「エマ」の舞台のロンドンと、ハワースです。
航空券はスリランカ航空でコロンボ経由のが一番安かったので買いました。スリランカでトランジットってのも悪くないかなと思いました。アーユルヴェーダ系の薬とかグッズとか売ってるかもしれないという期待があるし。
当日は東京はすごい雪で、飛行機飛ぶかな~と危ぶまれましたが、なんとか飛び立ち、10時間近く飛んだあと、コロンボのバンダラナイケ国際空港に到着しました。
いきなりデカイ仏像がお出迎えです。そう、スリランカは仏教国なのです。おみやげ屋さんにもド派手な金の仏像がいろんなサイズでいっぱーい売ってます。
薬屋さんがあったのでアーユルヴェーダ系の薬を期待してましたが、売ってるのは普通の薬ばっかりで、アーユルヴェーダ系のはこんなサプリメントだけでした。3ドル。
トランジットタイムが6時間半ほどあったんですが、WiFiは時間制限があって一定時間が過ぎると使えなくなるし、免税店もそんなに数がないし品揃えもいまいちだし、だんだん飽きてくると退屈な時間になってきました。と思ったらターミナルビル内のBGMでチャゲ&飛鳥の「SAY YES」が流れてきたのはどういうわけだろうか。
夜中の2時になって、やっと次のフライトのゲートオープンしました。係員が一人一人のパスポートと搭乗券をチェックするんですが、私の番になると、写真のページを専用の虫眼鏡みたいなのでためつすがめつチェックし、さらには写真と私の顔を何度も見比べ、それはそれは厳しいチェックでした。日本人の客は私のほかいなそうだったし、こんなところに日本人が乗るはずもないということで、偽造パスポートでも疑ったんでしょうか。そんなこんなでなんとか通してもらえましたが。
シートは汚く、テーブルは今にも壊れそうな感じ。アーユルヴェーダのお茶のセットが免税品カタログにあったので近くのCAに注文してみましたが、なかなか持ってこない。結局着陸時間間際にようやく持ってきてくれる始末でした。
飛行機はインド西部をかすめ、オマーン、イラン、トルコ上空を飛行し、黒海を超え、ブカレスト、ブダペスト、ウイーン、ニュールンベルク、フランクフルト、ブリュッセルを抜けて、ようやく午前8:45にロンドン・ヒースロー空港第4ターミナルに到着しました。
ヒースローで飛行機を降り、標識に従って入国審査場へ歩いていきました。入国審査官のお姉ちゃんはイスラム圏のどっかからの移民らしく頭にフードをかぶっていて、これまで私が行った他の国では経験したことのない超厳しい突っ込んだ質問をしてきました。パスポートと入国カードをチェクし、指紋を取ると、入国カードの職業欄が空欄になっているのを見咎めて、「職業は?」と訊いてきました。通信会社に勤めるエンジニアだと答えると、
「どこに行くつもりか?」
と訊いてきたので、「ウエスト・ヨークシャーのハワースです」と答えると、
「なぜハワースなの?」
と訊かれました。
「ブロンテ姉妹に興味があるから」とか答えると、
「(ブロンテの)何の本を読んだの?」と尋ねてきます。
「嵐が丘」(ホントは全部読んでませんが)
「他には?」
「他は時間がなくて読めなかった」(他の本のタイトルがすぐ浮かばなかったので適当にごまかす)
「ヨークシャーまでどうやって行くつもり?」
「電車に乗ります」
とかいろいろやりとりのあと、やっとスタンプを捺してくれ、英国への入国が叶いました。
アメリカ本土ならシナモンの香り、ハワイならトロピカルフルーツの香り、シンガポールならスパイシーな香り、中国なら油の匂い、と国によって匂いが違っているのですが、イギリスに関しては特徴的な香りはないと思いました。
空港でまずやったことはSIMカードの購入です。幸いイギリスにはSIMカードの自販機が出口のすぐ左にあるので、EEというキャリアのSIMを30ポンドでゲットし、iPhone5に入れて電源を入れ、アクティベーションにちょっと手間取りましたがなんとか使えるようになりました。
次にヒースロー・エクスプレスのカウンターへ行き、ブリットレイルパスをアクティベーションしてもらい、4日間有効にしてもらいました。
第3ターミナル行きの電車に乗り、そこからパディントンまでファーストクラスの客車に乗ります。ファーストクラスは各窓に沿って1列シートで、携帯やPCを充電できるコンセントが各シートに備え付けられています。
ヒースローを出てすぐパディントンに到着。駅舎はゴージャス。日本じゃこんな駅お目にかかれないですね。
パディントンから地下鉄に乗ってキングスクロスに行こうとしましたが、地下鉄の入口が閉鎖されてて入れなくなってました。何が起こったのかよくわかりませんでしたが、何やら緊急事態が発生した模様。のっけから前途多難。
しょうがないので地下鉄はあきらめ、近くのタクシー乗り場からロンドンタクシーを拾って、メリルボーンロードを東へキングスクロスまで行ってもらいました。12ポンド+チップ。
キングスクロス駅はイングランド北部やスコットランド方面に向かう列車のターミナルで、「エマ」でも重要な舞台の1つです。威容を誇る古い建物と洗練されたモダンな建物が同居する場所でした。
さらにこの駅はハリーポッターの小説でも有名で、コンコースにはハリーポッターの土産物店と、ホグワーツ特急の出発点である9と4分の3番線があります。いっぱいの人が写真を撮るべく長い列に並んでました。私はハリポタ読んでないので何がありがたいのかわかりませんが。
リーズ行の列車に乗車。ファーストクラスの車両では無料の軽食サービス(ビール付きのこともあり)があります。といっても紅茶はちゃんとした陶器のカップに入れてくれるし、日本の新幹線のグリーン車でもこんなサービスは受けられないのではないでしょうか。
2時間半ほど走ると、リーズ駅に到着です。
しばらくすると、ここからキースリー方面に向かう普通電車が入線してきました。
リーズを出ること約30分で、キースリーに到着です。ここの駅でキースリー&ワースバレー鉄道に連絡しており、週末にはディーゼルカーと蒸気機関車でハワースを通ってオクセンホープまで運行しています。キースリー&ワースバレー鉄道はブリットレイルパスがカバーしていないので別に切符を買わないといけないんですが、「車掌が乗車時に切符を見せろと言わなければ、タダで乗れる」(駅員さん談)とのこと。さらにこのキースリー駅の駅員さん、「これを見せればいい。内緒だからな」と言って、ハワースまでの硬券の切符をこっそりくれました。
日曜日だったので、蒸気機関車とディーゼル機関車が替わりばんこで1時間おきにやってきます。ラッキーなことに私の乗ったときは蒸気機関車でした。
キースリーの駅員さんにもらった切符はとうとう提示を求められることはなく、列車は数キロほどの距離を20分かけてゆっくり走行し、ハワースに到着しました。「エマ」でウィリアム・ジョーンズがメルダース家のマナーハウスでメイドになっているエマを訪ねる、ハワースの駅です。
ハワース駅は小さな駅で、こじんまりとした待合室とギフトショップがある小さな駅舎がぽつんと建っているだけです。
駅から荷物を引きずって、セントラルパークを抜け、メインストリートを上がり、目当てのB&Bへ。
宿泊先の「ヒースフィールド・ベッド&ブレックファースト」。メインストリートを上がったところにあります。
玄関のドアを開けると、主人とその奥さん、そして小さい犬が出迎えてくれました。まず応接室に通され、そこで紅茶とブルーベリーマフィンをいただきながらしばらく歓談しました。もともとは牧師で、夫婦でオーストラリアで車の中で仕事を受ける生活をしていたそうですが、数年前にイギリスに戻り、ハワースでB&Bを始めたのだとか。さらにあの井形慶子さんからもこのB&Bが取材を受けたこともあると語っていました。
客室はこじんまりとした快適な居住性、窓からはメインストリートを見下ろせるロケーションでした。テレビの横には「嵐が丘」やブロンテ関係のDVDが何本か置かれてました。
しばらくすると主人が来て、このB&Bの近くにあるオールド・ホワイト・ライオン・ホテルが夕食が良いということで、クーポンをくれました。
そこの夕食は本当に素晴らしいものでした。ここだけでなく、他にイギリス滞在中に食べた食事は、レストランからデリの軽食まで、ハズレのものはなかったです。よく「イギリスの食事はまずい」と聞きますが、おふくろの味噌汁の味しか受け入れられないような、味にうるさくて、食べつけているもの以外受け付けないような人が言ってるだけなんじゃないかと思いますね。
(ハワース散策に続きます)
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