シンガポール訪問記3

この日は、展示会の見学も午前中で切り上げ、午後から2~3人を誘ってどこかに行くことにした。
とりあえず、2時にホテルのロビーで待ち合わせることにして、それまで各自自由にショッピングということに。

さて僕は近所の携帯電話ショップに出向き、手ごろなGSM端末があれば土産代わりに買って行こうかと思って物色していると、店員の兄ちゃんがやってきて、商品を取り出して説明を始めた。「GSM端末はNOKIAが一番使いやすいよ」と言われていたので、NOKIAを出してくれと言ったが、どれもS$600(42000円)~S$1000(70000円)ぐらいするので、携帯を買うのはあきらめ、bluetooth対応の携帯電話用ヘッドセットを見せてもらうことにした。

「こっちの安いほうの値段がthree thirty、高いほうがfive fiftyだよ」と店員の兄ちゃんが言う。なんだ高いのでもたったのS$5.50(385円)か!と思い、即座に「買った!」と言ってクレジットカードを差し出す。

店員がカードをカードリーダーに通し、印字されてきたカードスリップを「ここにサインして」と言って持って来たのを見ると、金額が「$550.00」(38500円)となっている。桁が2桁も違っているので、僕は「これは高すぎる!やっぱりやめた」と言うと、店員は
「買うって言ったじゃないか!」
と言って譲ろうとしない。

遊機「いや、five fiftyって、5ドル50セントだと思ったものだから……」
店員「bluetoothのデバイスが5ドル50セントなわけないだろ! とにかく一旦カードを機械に通しちゃったから、いまさら取り消しは効かない」
遊機「うーん、困ったなあ……」
店員「じゃこうしよう。さっきの600ドルって言ってたNOKIAの携帯、あれを550ドルで売るから。ウチはちょっと損するけど、never mind。さあ、ここにサインして」

なんか後味悪かったが、まあもともと携帯を見に来たということもあるし、NOKIAの携帯を50ドル値切って買ったと思えばいいか、と思って、それで手を打ってサインすることにした。

手に入ったのはNOKIAの6610i。メガピクセルのカメラ付き。モノとしては悪くない。さっそくレンタル携帯からSIMカードを移し変えて、電源ONしてみた。ちゃんとSIMカードを認識して電波も拾っていたので、これからはこの携帯を持ち歩くことにした。

さて2時になったので、ホテルのロビーで待っていると、ロビーから呼び出しがある。ショッピングしていた、一緒に行くはずの人たちから電話が入っているとのことで、受けると、
「すみませーん、買い物終わらないんで、せっかくですけど今日は全員キャンセルさせてください」
とのこと。

さきの携帯買わされ事件とこのドタキャン事件とのダブルパンチですっかり打ちひしがれてしまったが、いつまでも引きこもっているわけにもいかないので気を取り直して一人で観光することにした。

とりあえず、マーライオンでも見に行くか、ということで、地下鉄に乗り、Raffles Placeという駅まで行く。そこで地上に上がると、運河が見えた。運河沿いの風景は美しくて良かったのだが、肝心のマーライオンが見当たらない。ガイドブック片手にあっちこっち歩いていると、5分ほどでたどりつくことができた。

マーライオンは、世界三大がっかりスポットといわれるほどつまらない場所といわれるが、実際に見てみるとそれほどがっかりというわけでもない。さしずめ、お台場の自由の女神のような感じである。下の写真のように、マーライオン君が海に向かって海水を噴き出している。

Back of Maarlion

近くに、桟橋のようなものが突き出しており、そこの先端からマーライオン君の正面を見た写真がこれ。

Marlion

人も少なく、対岸には島があったり、高級ホテル群を臨み見たりできるので、雰囲気的には決して悪くない。神戸の中突堤のようにマターリとした感じといえるかもしれない。

僕は、缶のTiger Beerを買い、近くに座って飲みながらぽけーっとしていた。

時間に追い立てられながら観光地をめぐるよりも、こうやってぼーっとしているほうが、最高の贅沢といえるかもしれない。