まあ沖縄というのは生まれて初めて行ったわけですが、なにしろ日本であって日本でないような、不思議な国だという印象を受けました。
まず街の作り方がまるっきり違います。本土の街は、鉄道の駅を中心にして、駅前に役所、銀行、デパートなどの主要施設ができていき、その周辺に住宅地が広がるという形態が一般的ですが、鉄道のなかった沖縄は、まず道路があって、ロードサイドに各種施設やショッピングモールを点在させる、というアメリカ式の街づくりになってるようです。なので当然、車がないとどこへも行けない、という状況で、私も何度となくタクシーのお世話になりました。まあタクシーはいっぱい流れてるし、初乗り運賃も本土に比べれば安いので利用しやすいのですが……。
アメリカみたいといえば、道の広さや建物一つ一つの大きさに圧倒されました。特に新都心あたりの道路は走りやすそうで、車で生活するならだいぶ快適に過ごせそうです。
人々の姓も沖縄独特でした。そこらのコンビニのお姉ちゃんや、ショッピングカウンターの店員さんの名札を見ると「与儀」とか「具志堅」とか「金城」とか「平良」とか「渡嘉敷」とか「宮里」とか、本土ではあまり見かけない姓が多かったです。
気温は東京とあまり変わらないですが、湿度が亜熱帯特有のじとっとした感じで、すぐに汗がにじんできます。香港なんかもこんな感じだったでしょうか。ただ気温が33度を超えることはめったにないそうで、東京や大阪のように35度超えなんてことはないらしいです。そういえば赤道直下のシンガポールも、気温は32~33度ぐらいが上限だとか。
東京を中心に考えていると、日本の辺境の地という印象のする沖縄ですが、現地にいると、うるさい中央のしがらみから逃れてわりと自由にやれそうな雰囲気のするところのような気がします。時間の流れ方もゆったりしていて、あまりセカセカしないでのんべんだらりとやっていけそうな感じのところかもしれません。老後に俗世間から離れて隠遁生活するにはいいところじゃないでしょうか。
そんなことをタクシーの運ちゃんに話すると、「そういう人、けっこういますよ。リタイヤしてから移住する人とか、東京あたりから遊びに来てそのまま居ついちゃう人とか。沖縄は貧乏な県だけど、まあそういう魅力だけはあるんでしょうな」と言ってました。
海も、噂に聞く通りエメラルドブルーで、飛行機から見るとその透明度の高さに周りに座ってた若者らは「ヤバイ、ヤバイ」の連発。でも地元の人に言わせると沖縄本島の海はだいぶ汚くなっているそうな。ホントに綺麗な海を見たければ離島に行きなさい、と。ならば今度は与那国島とか宮古島あたりでのんびりと泡盛でもちびちびやりながらマターリするのがいいのかな。
まあ、だけど、今度来るときもやっぱり本島をじっくり回ってみたいと思います。プライベートな旅行で。できればコザとかに行ってみたいかな。
そういってる間に、出発の時が来てしまいました。
チェックインし、セキュリティをくぐると、搭乗ゲートに着くまでの間に、
DUTY FREE SHOP。
沖縄だけにある、国内線で利用できる免税店です。
セキュリティをくぐった人だけが利用できる、つまり、飛行機で他所に飛ぶ人だけが免税品を買えるようになっています。ちなみに空港外のDFSを利用した場合も、買った商品はここでしか受け取れません。
まあ、ブランド物に縁のない漏れとしては、素通りしただけでしたが。女物しかなかったしね。
搭乗口で搭乗を待っていると、ベンチの前のテレビでNHKの放送をやってました。琉球舞踊で人間国宝になった宮城能鳳さんという人の舞台だったんですが、役者たちが全部同じ音階でセリフ回ししてました。ウチナーグチでしたが字幕スーパーがあったので意味はわかりましたが。なんでも姉弟の姉のほうが、母親のために自ら大蛇のえじきになりにいく話だったですが……よくわからんけど最後はハッピーエンドで終わった話で、すっきりした気分で帰りの飛行機に乗り込んだのでした。