「新選組!」終了

2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」が今日、無事に最終回を迎えた。
今年の大河ドラマはこれで全話欠かさずに見たことになる。僕が大河ドラマで全話見たのは1987年の「独眼竜政宗」以来のことである。それまで新選組のことはほとんど知らず、せいぜい近藤勇と土方歳三、それと沖田総司程度の名前を知っている程度だったので、今回のドラマで新選組について詳しく知ることができた。
特に最初の多摩時代がとても良かった。まだ力も何もない青い時代の若者であった近藤・土方たちが、佐久間象山や桂小五郎など大きな存在の人々の影響を受けながら、なんとか力をつけようと希望に夢を膨らませ前に進む姿は、自分たちと重ね合わされるものがあって、感情移入できるものであった。舞台も調布、府中、日野などの、自宅からそう遠くない場所だったというのも親近感が持てた。
ドラマは、近藤・土方・沖田を軸に、彼らをとりまく試衛館のメンバーを交えながら展開していく。農民の出であった彼らは、武士として名をあげるという夢を抱きながら、あらゆる偏見や障害と戦いながら剣の腕を磨く。そしてついに機が熟して壬生浪士組として京へ上り、浪士組最大のライバルだった芹沢鴨を粛清したあとは、池田屋事件で一気に世に躍り出る。
しかし、若者だけの集団というのは、しばしば暴走しやすいものである。新選組の外での活躍とは対照的に、内部対立とそれを抑えるための粛清が横行し、試衛館時代からのメンバーである山南敬助をはじめ、多数の仲間たちを失ってしまう。
それでも、近藤らはなんとか幕臣という地位を手に入れることができ、晴れて念願叶って武士として認められる。しかし、その地位も、大政奉還によって幕府自体がなくなってしまい、あっけなく失ってしまう。
そのあとは、賊軍という汚名を着せられながら、官軍である薩長の軍と戦うことになる。幕臣としての信頼を受けながら、薩長を追い払い幕府を復興させるために戦うと息巻く新選組だが、将軍である徳川慶喜自身が幕府を畳んで上野寛永寺に引っ込んでしまったことから幕臣たちの士気が低下し、新選組もあっけなく官軍に敗れてしまい、敗走先の流山でついに捕らえられてしまう。
ドラマ自体の出来は、多摩時代から芹沢粛清にかけての完成度の高さに比べ、山南切腹以降の後半部分については、かなり作り方がチープになっていったように感じた。これは完全にペース配分を誤ったとしか言いようがない。多摩時代の描写が10話程度の話数なのはまあ適切だと言えるだろう。しかし多摩から京に上る場面だけで3話も費やし、さらに道中で2話、京に着いてから落ち着くまでに2話もかけたのは明らかに多すぎだ。その結果、大政奉還以後になると残り話数が足りなくなってしまったのか、かなり駆け足で端折りながら進んでいったように思う。特に新選組最大の本格的な合戦である鳥羽伏見・甲州勝沼の戦いにかけての描写は酷かった。特に今年は同じ時代を扱ったハリウッド映画「ラストサムライ」を見てついつい比べてしまうというのもあるが、合戦シーンの貧弱さが目立つ上に、ストーリー自体まにあわせで作ったとしか言いようがない。ただそのおかげで、あれよあれよと頂点から転落していく新選組を表す効果はあったのかもしれない。
そして迎えた今日の最終回。ドラマの展開は最終回らしく盛り上がりを見せていた。が、やはり、タイトルが「近藤勇」ではなく「新選組!」というからには、近藤の最期で終わらせず、せめて土方の函館戦争まで持っていってほしかったと思うのは、僕だけではないと思う。特に会津~蝦夷時代の土方には見るべきものが多くあったと思われるだけに、単発ドラマでよいから続編をぜひ希望したい。

【関連サイト】

新選組百科事典
だんだら通信

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【2005/05/27追記】

続編の要望が相当多かったのか、来年の正月ドラマで続編をやることになったようだ。

【2005/06/05追記】

「だんだら通信」のサイトは既に無くなっているので、リンクを削除した。


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Comments コメント

One response to “「新選組!」終了”

  1. ★2F 傑作売場週報のフロア Avatar

    新撰組!or新選組!

    こんにちは「局長」ではなく「店長」です。
    いまさらながら、最終回を見ました。
    なんせ、撮りためたビデオが50番組くらい残ってて
    2週遅れペースで追いつけ追い越せ…