Category: People 人

  • 丹波哲郎さん死去

    「砂の器」「Gメン75」丹波哲郎さん死去 (読売新聞 – 09月25日 19:21)
     映画「砂の器」やテレビドラマ「キイハンター」などで知られる俳優の丹波哲郎(たんば・てつろう、本名・正三郎=しょうざぶろう)さんが、24日午後11時27分、肺炎のため亡くなった。84歳だった。

    とうとう霊界に旅立たれてしまったようで……。

  • 橋本”アンパン”龍太郎氏死去

    1996年のペルー日本大使公邸占拠事件の折、対策本部に木村屋のアンパンを差し入れた(ことぐらいしか有効な対応ができなかった)ことから「アンパン首相」と揶揄された呼ばれた橋本龍太郎元首相が7月1日午後2時、多臓器不全と敗血症ショックのため死去。享年68歳。
    最近、「平成研究会」の1億円ヤミ献金事件がらみで不起訴になったとかいうニュースで名前が出てくるまで、あまり表舞台には出てこなかったと思っていたが、そのニュースからわずか数日後の急転直下の訃報。
    首相在任中はアンパン以外に何をしたかよくわからない首相だったが、ともあれ、ご冥福をお祈りしたい。

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  • 防災訓練

    Disaster prevention training

    家の近所の小学校で、近隣住民を対象として"都市直下型地震発生"を想定した防災訓練があった。都会の町で地域住民を集めて催しをするのも珍しいのだが、近所の3つぐらいの町会が合同で主催して開いたらしい。区役所の職員や警察・消防を呼んで、防災に関する話を聞いたり、消火活動や救急のデモンストレーションを見たりするという趣旨だった。

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  • 本田美奈子さん死去

    歌手でミュージカル女優でもあった本田美奈子(本名・工藤美奈子)さんが11月6日、急性骨髄性白血病のため死去。38歳。
    僕がちょっとだけミュージカルに興味を持っていた一昨年から昨年にかけて、よく巡回していた劇団のサイトの一つにミュージカル座というところがあって、そこの「ひめゆり」という公演に主演していたのを知っているのだが、確かそれは昨年のことだったと思う。それからすぐに病気がわかり、今年の初頭に闘病宣言、そして今回の報。状況のあまりに急な変化に、ただただ絶句するのみである。
    ご冥福をお祈りしたい。

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  • Carousel (回転木馬)

    Carousel

    國學院栃木高校の文化祭の目玉の1つである、ミュージカル部の公演「Carousel(回転木馬)」の一コマだ。劇団A Musical Noteの主宰、三枝幹音センセイがダンス指導をしているミュージカル部の公演ということで、去年に引き続いて今年も見に行ってきた。

    今年の題目「Carousel(回転木馬)」。Richard Rodgers(音楽)とOscar Hammerstein二世(脚本・作詞)による1945年初演のミュージカルだ。原作はFerenc Molnarの戯曲「Liliom」。1945年4月19日から1947年5月24日までブロードウェイのMajestic Theatreで890回の公演を重ね、1993年ローレンス=オリヴィエ賞4部門、1994年トニー賞5部門にも輝いたともいう名作である。

    Spoiler warning(ネタバレ注意)

    あらすじを説明すると、舞台は1870年代の米国ニューイングランドで、綿工場で働く2人の少女が、仕事が終わったあとに回転木馬を訪れるところから始まる。そのうちの1人、Julie Jordanのお目当ては、回転木馬の呼び込みをしているテキサス出身の青年Billy Bigelow(曲”Carousel Waltz”)。一方、Julieの友人Carrie Pipperidgeは、自分にSnowという彼氏がいることをJulieに打ち明けて満足顔だ(”When I Marry Mr. Snow” 邦題:Mr.スノー)。

    2人がいつものようにBillyのところに遊びに行っているとき、警察官が現れ、Billyはとんでもない結婚詐欺師で、女性からお金を巻き上げている輩だから気をつけろと彼女たちに注意する。Carrieはその場から逃げるが、Julieは残る。Billyと2人きりになり、いろいろと語り合っていくうちに深い仲となり(”If I Loved You”)、ほどなく2人は結婚する。季節は6月だ(”June Is Bustin’ Out All Over” ジューン)。

    しかし、その幸せな結婚生活も長くは続かず、Billyは回転木馬の呼び込みの職を失って不安定になり、Julieの親戚のNettieのところに転がり込んだものの、呼び込み以外の職には就く気もなく、あげくにはJulieに暴力まで振るう始末。一方、CarrieはSnowと婚約し、幸せな結婚生活について二人であれこれ夢想する(”When The Children Are Asleep” 子供達が眠ったら)。

    島ではその頃、ハマグリや海の幸の収穫期で、島では人々がカーニバルを開いていた(”That Was A Real Nice Clambake” ごちそうがいっぱい)。

    そのころ、Billyは素行の悪い船乗りのJigger Craiginとかかわるようになり、彼からある計画を手伝うよう持ちかけられる。その計画とは、そのころ島で行われる宝探しのお祭り行事にまぎれて密かに大金を運ぶ商人から金を強奪することだ。Billyは最初はためらうが(”Soliloquy” うまくいくはずがない)、そのころちょうどJulieが妊娠したと告げられるに至り、生まれてくる子供のためにお金が必要になってくると感じた彼は、その計画に乗ることにする。一方Julieは、自分に対して愛の言葉もなく日に日によそよそしくなっていくBillyに気を病む(”What’s The Use Of Wondrin’?” 考えても始まらない)

    さてCarrieは、Snowと幸せなひとときを過ごすが、Jiggerの悪ふざけによりSnowに嫌われてしまう(”There’s Nothin’ So Bad for a Woman” うまくいくはずがない)。傷心のCarrieをJulieが慰める(”What’s The Use Of Wondrin’?” 考えても始まらない)。

    宝探し当日、町の人がいなくなったのを見計らったBillyとJiggerは示し合わせて、ちょうど通りがかった綿工場の経営者から金を奪おうとするが、失敗し、逆に彼が護身用に持っていた銃で撃たれてしまう。Julieがすぐに駆けつけたものの、ついにBillyは息を引き取ってしまう。生まれてくる子供を残して夫に先立たれたのを悲しむJulieを、Nettieや町の人たちは励ます(”You’ll Never Walk Alone” 人生一人じゃない)。

    死後の世界へ召されたBillyは、天国か地獄かを決める裁判所で裁かれの身になるが、生前やり残したことを解決するために1日だけこの世に戻ることを許される。Billyは、死んでから15年後の地上の世界に送られる。

    BillyとJulieとの間に生まれた娘、Louiseは、ちょうどそのころ思春期の難しい年頃を迎えていた。彼女は、亡き父親の生前の素行の悪さが町の噂となっているために同級生たちにいじめられ、また母一人子一人の貧乏生活のためにパーティー用のよそいきの服も作ってもらえない状態。そんなLouiseを見て罪の意識を感じたBillyは、彼女に小さな贈り物を与える。またJulieには、生前にはハッキリと口にしなかった「愛してる」という言葉をこの時初めて告白する(”If I Loved You”)。

    そして迎えたLouiseの学校の卒業式。居並ぶ卒業生らを前に、来賓として呼ばれたNettieは祝辞で、「親の行動など関係ない。自分自身の足で立って、人に嫌われることをおそれないで、自分のやりたいように精一杯生きるように」とスピーチをする。これまで親のせいで劣等感を抱き続けていたLouiseは自信を取り戻す(”You’ll Never Walk Alone” 人生一人じゃない)。それを満足げに見守るBilly。そして、フィナーレ。

    Louiseたちを変えたのは結局Nettieの一言だったの?とか、じゃBillyはいったい何しにこの世に下りて来たの?とか、ストーリーだけを見ると細かいところに突っ込みを入れたくなる箇所はところどころみられたものの、若い高校生たちの全力の演技がまぶしかった。終わったあと、感極まって泣き出す生徒たちを見ながら、三枝センセイも感無量の面持ち。みんなで何かを作り上げて成功させた喜びが、そこにはあった。

    文化祭では他にも出し物があった。僕が見に行ったのは、英語部の展示と、アメリカ語学研修発表。

    英語部のほうは、3年生の、わりと可愛い女の子が説明員をやってくれた。彼女も元ミュージカル部員だったとか。英語部は3年生の部員が3人しかいないそうで、このままでは誰も部員がいなくなってしまうと嘆いていた。

    英検の3級と準2級と2級のリスニング問題をクイズ形式で体験させてもらえるコーナーがあったので、ためしに2級のを聞かせてもらった。一部の文が空欄になっている文章が書かれたカードを渡されて、その文章がCDプレーヤーから読み上げられる。それを聞いて、空欄になっている文の意味を日本語で答えてくださいと言われた。TOEICと違って単語ごとに区切ってゆっくり読み上げてくれるし音声は2回繰り返されるのだが、アクセントにクセがあって、2回聞いても何言ってるのかよく聞き取れない。2級ぐらいと舐めてかかっていると、けっこう難しいことがわかった。それでも何度か聞いているうちに癖がわかってきて、聞き取れるようになったのだけど。

    問題が3問あって、正解するとcertificateがもらえた。

     

    アメリカ語学研修発表のほうは、國學院栃木高校のCommunicative Englishの担当講師をしているDevin Kelso氏が、故郷の米国アイオワ州Mount Vernonで自ら主宰する、日本からの交換留学生を受け入れるホストファミリーを紹介しホームステイさせるプログラム「Kelso Heartland Homestay Program」によって派遣された高校生たち24人の体験報告である。

    彼ら彼女らは、Mount Vernon近辺のホストファミリー宅にステイし、アイオワの広大な農場を体験したり、Walmartでのショッピングや映画「Field of Dreams」ゆかりの野球場の観光や大リーグCardinalsの試合観戦(元オリックス・田口選手にもらったサインまであった)などを通じたエキサイティングな2週間について、掲示板に写真とコメントで紹介していた。

    Kelso Heartland Homestay Program 2005

    参加者は、「アメリカの本場の英語を学びたい」というのを応募動機にしていた人が多かったようだが、語学よりも、それ以外の、目に見えないいろいろなことを学んだのではないだろうか。今まで生きてきた世界と全く違うものがあることを目の当たりにして、自らの価値観が根底から覆される体験、これこそが、このようなプログラムの最大の醍醐味だろう。

    生徒への教師の暴力事件など、いろいろとたいへんなニュースもある國學院栃木高校だが、生徒たちの若さを見ていると、まだまだ世の中は明るいと楽観視していいような気にさせられる。「若いって、いいなあ……」と感慨にふけりながら、今晩は佐野市のビジネスホテル「ホテル三吉野別館」に投宿し、こうやってブログ書いている32歳のヲヤヂなのだった……。

    【関連サイト】

    Carousel (musical) – Wikipedia
    Carousel (1956 Film Soundtrack)
    Mount Vernon-Lisbon Sun
    “We want to make a bridge”

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  • スチュワーデスのブログ

    前回の「続続・ものを書くこと」「個人の発言に所属組織はどこまで責任を負うべきか」のエントリに関連して。

    社員のWebサイトやブログでの情報発信について、一般以上にナーバスになっている業界がある。航空会社だ。

    その航空会社の顔ともいえる、客室乗務員、つまりスチュワーデスが、個人でサイトやブログを持つことには、各社ともかなり神経をとがらせているという。

    言うまでもなく、航空会社は航空機の安全な運行が使命であり、お客様に安心して利用していただけるよう、その企業イメージの維持管理に腐心している。一方、その客室乗務員(CA)は、保安要員であると同時にお客様への重要な"顔"としての役割を果たしており、かつては採用条件として"容姿端麗であること"と募集要項に書かれていたほどだ。そのため、「スチュワーデス=美人」というイメージが今でもつきまとっており、またCA自身も、その華やかなイメージに憧れてその仕事を選んだ人が少なくない。

    そして、そのCAが、自分の個人Webサイトやブログを開設するとなると、やはり話題はその仕事内容が中心となる場合が多い。それは、自身の虚栄心からくる場合もあるだろうし、何よりも、僕を含めた世の男性たちが、"スチュワーデスの裏話"的な話題を期待しているからということが大きいだろう。

    しかしながら、航空会社としては、CAは自社の"顔"である以前に"保安要員"だ。その"保安要員"という前提が崩れて、"スチュワーデス=美人=セックスアピール豊富"というイメージが独り歩きすることを、会社の品格を損なうものとして極端に嫌うようだ。そのせいか、CAにはその行動について公私にわたり厳しくチェックを入れるそうで、個人サイトやブログについても、かなり制限があるらしい。もちろんお客をさして「きんもーっ☆」などと書こうものなら、即呼び出しを受けてきつくお灸をすえられることだろう。デルタ航空の米国人CAは、自社の制服を着た写真をブログにアップしたことが原因で、解雇されるにまで至っている。

    きゃびんあてんだんと用語集」というWebサイトを管理している元CAのRiseさんは、現役時代、このサイトのせいでいろんな批判を受けたという。本人の弁では、とかく"特別なもの"として高みに置かれがちなCAという仕事の裏事情を広く一般に知ってもらうことで、CAを身近に感じてもらいたい、というのが開設の趣旨だったとのことだが、"高みに置かれる"ことに慣れた他の先輩CAを中心に、相当叩かれたそうだ。そのせいかどうか知らないが、今はCAを辞め、フランス語の翻訳家を目指して奮闘しているとのこと。

    CAというものを"聖域"として守りたい人々、自分の仕事を紹介して目立ちたいCAたち(志望者も含む)、機密事項をできるだけ外に出されないように神経を尖らせている人間、CA事情のネタを期待する男性たち……そういった色々な人の思惑やしがらみにかき回されながら、それでもCAのサイトやブログは次々に現れては消え、書かれては会社に通報されて消され……を繰り返している。そして、それらをウォッチしては、一抹の期待を抱きながらコメントを入れてお近づきになろうとする我々がいる。

    スチュワーデスが"憧れの職業"である限り、それは終わることはない。

    【関連サイト】

    裏クルーネット「スッチーのブログ & HP パート3

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  • 福井敏雄さん死去

    関西ローカルの夕方6時半からのニュースでの天気予報で、「停滞じぇんしぇんが……」などと独特の訛り方でおなじみだったお天気おじさん、福井敏雄さんが4月27日、老衰のため死去。84歳。

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  • 「ドラえもん」新声優に30歳女性

    「私、ドラえもん」新声優に水田わさびさん
     テレビ朝日は12日、人気アニメ番組「ドラえもん」の4月からの新しい声優陣を発表した。
     大山のぶ代さん(68)に代わる2代目ドラえもん役は、声優の水田わさびさん(30)。このほか、のび太役を大原めぐみさん(29)、ジャイアン役を中学2年生の木村昴(すばる)さん(14)、スネ夫役を関智一(ともかず)さん(32)、しずか役をかかずゆみさん(31)がそれぞれ担当する。いずれもオーディションで選ばれた。
     これまで「あたしンち」「忍たま乱太郎」などに出演してきた水田さんは「私なりのドラえもんをめざし、かわいらしさをモットーにがんばっていきたい」と話している。新キャストでの第1回放送は、4月15日。 (読売新聞

    これはまたずいぶん若返ったもので……。これならあと30年はこのメンバーでもつかな。
    前メンバーの声ですっかり定着しきっている視聴者の意識を、自分たちサイドにどう振り向けられるかが問題だ。脇役もそうだが、特に主人公であるドラえもんのあの個性的なボイスを表現するには、声優はよほど強烈なキャラで押さないと、違和感ばかりが残ることになりかねない。「かわいらしさ」だけでなく、小気味よさ、毒なども同時に出せるかどうかがカギになるだろう。

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  • 【結婚】祝 増田明美さん【おめでとう】

    1984年のロサンゼルス五輪の女子マラソン代表ランナーで、今はTV解説者やスポーツライターとして活躍している増田明美さん(41)が、2月8日付で結婚・入籍したというニュースが新聞に書かれていたのを見つけた。お相手はファイナンシャル・プランナーの井脇祐人さん(40)。元証券マンで、仕事上付き合いのあったミュージシャンのサンプラザ中野(44)の紹介で4ヶ月前に知り合い、昨年のクリスマスイブにプロポーズしたとのこと。
    実は、僕はかなり昔からこの人のファンなのである。
    僕が初めて増田明美さんのことを知ったのは、まだ小学生だった1983年の大阪女子マラソンのこと。レース途中で倒れちゃった選手がいる、と聞いて、ちょっと心配したことがあるのだが、そのときの倒れた選手というのがこの増田明美選手だったのだ。
    翌年の大阪女子マラソンの時に、そのことに触れ「去年倒れてお世話になった方々に恩返しのつもりで走りたい」とコメントしていたのが印象的である。結局、このときは、最後にカトリン・ドーレ選手に抜かれて2位になったものの、抜かれるまでは2位以下を大きく引き離して「一人旅」状態で快走し、ロス五輪の出場切符を手にしたのだった。
    しかし、本番のロス五輪では、振るわなかった。僕はこの時小学5年生だったにもかかわらず、夏休みだったので夜更かししてライブで中継を見ていたのだが、16キロあたりでリタイアしてしまったという。どうやらレースの数日前に報道かどこかの関係者が夜中に彼女の寝ている部屋に電話をかけたらしく、それがもとで睡眠のリズムが崩れ、体調が悪くなったことが原因らしいと、あとで新聞を読んで知った。当時は「オリンピック=国威発揚の場」と本気で信じていた僕だったので、これを知り、その電話をかけた奴は死刑だ!と息巻いたものである。
    全国民の期待を一身に背負いながらそれに応えられなかった彼女は、その年のうちに引退宣言をし、競技の世界からもTVからも姿を消してしまった。僕の記憶からも、いつの間にか消えてしまっていた。
    お茶の間に再び姿を現したのは、少なくとも僕の記憶では、それから9年後の1993年のことだった。僕は大学生になっていた。ドイツ・シュツットガルト世界陸上選手権の女子マラソンに、解説者として招ばれていたのだった。そのときの、鈴を転がすような美しい声と、軽妙なトークに、すっかり魅せられてしまったのだ。
    その頃を境に、彼女はTVのいろいろな番組に露出するようになった。ドラマ、クイズ番組、トーク番組、バラエティ番組など、いろいろなところで目にするようになって、ある日、意を決してファンレターを書くことにした。TV局に所属事務所を聞き、図書館に行ってその事務所の住所を調べ、そして手紙を書いて投函した。まさか返事などもらえるとは期待していなかった。
    ところが、一週間ほどすると、キレイなピンクの封筒が郵便受けに入っていた。差出人には「増田明美」と名前が。どきどきして封を切ると、一筆箋7枚ほどに大きな字でびっしりと返事が書かれていた。一面識もない者にここまで丁寧に書いてくれるとは、とても律儀な方だと、あらためて尊敬の念を深めたものである。
    その封筒には、なんと自宅の住所まで書かれていた。今は住んでいないからもうここで晒しちゃっても問題ないだろうが、東京の杉並区松庵というところが住所だった。当時、兵庫県の西宮の実家に住んでいた僕は聞いたこともない地名。調べてみるとどうやら中央線の西荻窪という駅の近くらしい。
    学会で東京に出張した折、ついでに思い切って松庵の家の前まで行ってみることにした。今考えるとほとんどストーカー状態だが、この人の生活する周辺の環境などといったことを肌で感じてみたいと思ったのである。
    封筒に書かれていた地番を頼りに、西荻窪駅前を歩いてみる。雑然とした商店街の中に飲み屋やら怪しいピンサロやら幸*の科学の事務所やらがあって、なかなか面白そうなところだった。そしてついに自宅のマンションを見つけた。1階には輪島功一だかのジムがある。ひょっとしたらここはスポーツ関係の人間の多く住むところなのかもしれない、と思った。
    しばらくすると彼女は西荻窪に自分の事務所「オフィス増田」を開き、TVにもどんどん露出するようになった。事務所はそのあと現在の代官山に移り、また自身もどんどんキャリアアップしていって、TVでのマラソン解説での実績を積み重ね、日本陸連の理事や笹川スポーツ財団の評議員となって女子マラソン界にさまざまな提言や発言もし、昨年のアテネ五輪の女子マラソン代表選手選考にもかかわるほどになった。本も何冊か書き、ラジオのレギュラー番組も持ち、新聞や雑誌にもコラムを連載し、知的障害者の支援団体にも参画し、カリフォルニア・レーズン大使を務めるなど、すっかりマルチな方面で活躍している。
    競技生活では一度は失敗した人生。そこから立ち直って、今ではすっかり成功したのである。人生、絶対にあきらめてはいけない。Never Say Never。それを教えさせてくれるテストケースである。
    そして、今回の結婚報告。こういう陸上競技関係の人は、結婚相手の候補となると自分のコーチだとか、とかく陸上関係者に限られてしまいがちなのだが、この人のお相手は全く畑の違う人である。ファイナンシャル・プランナーというのがどういう仕事をする人なのかはよく知らないが、こういうところからも、この人の交流の広さを物語っているようである。今でも、僕が年賀状など出すと必ず返事をくれる。地位が上がっても、そういう律儀さ、地道に人脈を広げる努力が、今回実を結んだのではないだろうか。
    杉田かおるの例を引くまでもなく、最近、40歳ぐらいまで独身を通してからランクの高い相手と結婚を決めるという例が多いようだ。適齢期にさっさと落ち着くのも良いが、焦らずじっくりと相手を吟味するということが大事だということだろう。そして、僕ら男性としては、このような女性に釣り合うことができるよう、日々精進することである。
    日本陸連の理事のほか、大阪芸術大学の教授や文部科学省中央教育審議会委員も務め、今ではすっかり「有識者」といってもいい地位にまで上り詰めた増田さん。次なる目標は参議院あたりへの出馬だろうか。生涯の伴侶も得て、これからもますますサクセス・ストーリーを歩いていってほしい。僕は心から応援している。

    【関連サイト】

    オフィス増田
    地域福祉研究会 ゆきわりそう
    日本陸上競技連盟
    笹川スポーツ財団
    大阪芸術大学
    カリフォルニア・レーズン協会

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