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  • 亀ゼリーを食す

    「亀ゼリー」というデザートがあるそうだ。朝、「おはスタ」というテレビ番組を見ていると、そこに出てくる子供たちにこの亀ゼリーを食べさせる企画があった。ヌマガメ科のミスジハコガメ(金銭亀)の腹の甲の部分を干し、それをすりつぶして薬草と混ぜて煮込み、ゼリーにするのだという。コラーゲンたっぷりで美容にも良く、体内の毒素を排出してくれる健康食品としても知られており、香港などでは子供たちを中心に日常的に食べられているのだそうだ。ただ、ちょっと癖のある味がするようで、「おはスタ」の子供たちは変な顔をして食べていたのを見て、どんな怪しい味なのだろうと思い少し興味を引かれたので、先日香港に旅行した際に地元のコンビニやスーパーを探し回って買ってきた。

    亀ゼリーのことを現地では「龜苓膏(Guilinggao)」と言うらしい。買ってきたのは黄大仙駅前のスーパー。近くでは肉などがむき出しで売っていてこの世のものとは思えない強烈な臭気を放つ中、端のほうに陳列されていたのを見つけてきた。現地価格で3HKD(45円)。

    「立即可食」と書かれており、そのまま缶を開けて食べることができる。プラスチック製のキャップにはスプーンがついている。

    しかし、プラスチックキャップを取り外すので一苦労。思い切り力任せに引き剥がさなければならない。こういうところは日本の開けやすい蓋に慣れた身にはこたえる。ようやく開けると、中からぷるんとした黒いゼリーが顔を出した。

    匂いをかいでみると、黒蜜の香りがかすかにする。スプーンを入れると、普通のゼリーよりもかなり弾力がある。口に運んでみると、やはり黒蜜がメインの甘い味だった。中華料理で出てくる仙草ゼリーによく似ているようだが、仙草ゼリーのような薬草の香りや苦味はあまりなく、ホントに子供のおやつ用の単純な甘さである。心配していた後味も全然悪くなく、これなら十分いける。あっという間に一缶食べ切ってしまった。ごちそうさま……。

    ちなみに国内では、横浜の中華街に行くと缶入りの亀ゼリーを手に入れることができるほか、お客にメニューとして提供している食堂もある。また恵比寿のル・シノワクラブというレストランでも亀ゼリーを出している。ネットの通信販売だと、日本橋古樹軒エイコムカラフルコレクションYahoo!ショッピングコクサイマートなどで買うことが可能。

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  • Happy Birthday!

    先日のエントリーでも書いたが、劇団A Musical Noteの第5回公演として、オリジナルダンスミュージカル「Happy Birthday! ~鍵の行方~」というタイトルで、王子神谷にほど近い「シアターバビロンの流れのほとりにて」にて行われている。劇団AMNの公演としては昨年9月のオリジナルミュージカル「飛天」以来1年3ヶ月ぶりである。千秋楽である今日のソワレの部を見に行ってきた。
    双子の姉妹を身ごもった真里子(水品美和子)とその夫・正信(津山智)は幸せいっぱい。ついに出産の日を迎え、二人して分娩室に入っていくが、途中で耐えられなくなった正信は分娩室を逃げ出してしまう。その間に事故が起こり、妻の真里子と、双子のうちの1人を失ってしまう。
    生まれることが出来なかった双子の妹・未花(三枝幹音)は、どうしても人間の生きている世界を見たくて、死後の世界のガイド(小田切久)に頼んで、父・正信と女子高生になった双子の姉・未幸(伊東佑美子)のいる場所へ案内してもらう。
    しかし、妻と子供を自分のために亡くしてしまったと自分を責める正信は、生まれてきた娘・未幸を1人で育てる自信を失い、彼女を施設に預けて逃げ、ひたすら会社人間として過ごすのだが、ある日会社からリストラされてしまう。一方、父親に捨てられ施設で育った未幸は16歳になるが、生きることに幸せを見出すことができず、寂しさのあまり遊び仲間とともに覚せい剤に手を出してしまう。
    妹・未花は、人間世界に案内してもらうのだが、そこで見たものはホームレスの父親と薬物中毒の姉だった。夢にまで見た「生きている」世界で起こっている惨状にショックを受けた未花は、姉の未幸をなんとか立ち直らせようとするが、既に生きることに幸せを感じなくなってしまっていた姉は、妹の言うことを聞き入れようとしない。
    人間の身体は、ひとたび覚せい剤にむしばまれてしまうと、癒えることはない。姉の心と身体は既にボロボロになっており、生きる意味を見出すこともないまま、ついには命まで失ってしまう。
    生まれてきたことを恨み、ひたすら死にたいと願っていた姉・未幸と、生まれてきて生きたかったと願う妹・未花。その未花のとった方法は、死んだ姉の代わりに自分の魂を姉の肉体に乗り移らせ、姉の負ってきた苦しみを自分で引き継いで生きることだった――。
    「Never Say Never(絶対できないなんて絶対言わない!)」というのが、この劇団の一貫したテーマである。どんなに辛くても、苦しくても、逃げることなく、絶対あきらめず事に向かい合えば、乗り越えることができる――ということを、公演のたびに絶えず訴えかけている。ともすれば説教じみたクサイ内容になりがちなのだが、そこは随所にバラード調で流れる独特のAMNミュージックがうまくカバーしており、見る者を食傷させない。
    2001年に旗揚げしてまだ4年に満たない発展途上の劇団であるAMN自身も、このテーマを旗印としながら、公演を重ねるたびに新しい試みに挑戦している。今回の作品は、初めてのダンスミュージカルに仕上げたほか、お笑いを売りにする劇団であるかわずおとしとのコラボレーションによるコメディーミュージカルでもある。ダンスのほうは主宰でもある三枝女史がダンス講師をしている関係上、非常に完成度が高く見ごたえ十分だったのだが、コメディーのほうは以前観た劇団Nom’bなどと比べるとまだまだである。ガイド役の小田切氏が一生懸命笑いを取ろうと必死だったのだが、お笑いには厳しい関西人の僕としては、笑うことができなかった。唯一笑えたのは、未花が人間世界に顔を出す前に衣装を選ぶシーンでわざとボケて変な衣装を着けて出てくる場面の中で、前作「飛天」の主人公の皇女の衣装を着けしかも前作に登場した山の民まで伴って現れてきたところ。これはツボにはまった。
    未花が姉の身体に乗り移ったのは奇しくも二人の誕生日である12月20日のこと。物語はその1年後の12月20日のところで終わる。1年間、姉の苦しみを引き受け覚せい剤の禁断症状に苦しみながらなんとか立ち直ろうと苦闘する妹・未花は、まだ完全に身体が治ってはいない。しかし、そばには父・正信がいた。父のこれまでの人生は逃げてばかりだったのだが、逃げることをやめ、妻・真里子の苦しみを背負って娘の更生のために共に向き合うことを決心したのだった。そして、未花(未幸)と一緒にクスリにおぼれ、そして一足先に立ち直った仲間たちが、バースデーケーキを持って彼女の見舞いにやってきた。未花は、必ず身体を治すために闘っている。そばには家族がいる。仲間がいる。そしていつの日か、家族4人で幸せに暮らすことができる日まで――。
    Never Say Never!

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  • AMN公演初日

    こちらのエントリでも紹介したとおり、今日から劇団A Musical Noteの第5回公演オリジナルミュージカル「Happy Birthday! ~鍵の行方~」が開演する。
    シアターバビロンの流れのほとりにて(地下鉄南北線「王子神谷」駅下車)にて今日、明日、明後日、日曜日の4日間。
    詳しくは劇団ホームページ参照。

    【2004/12/19追記】

    千秋楽の公演を観てきたので、新規のエントリーを立てた。

    【2004/12/23削除】

    こちらのエントリーにすべてまとめたため、このエントリの記述は削除した。

  • 「新選組!」終了

    2004年のNHK大河ドラマ「新選組!」が今日、無事に最終回を迎えた。
    今年の大河ドラマはこれで全話欠かさずに見たことになる。僕が大河ドラマで全話見たのは1987年の「独眼竜政宗」以来のことである。それまで新選組のことはほとんど知らず、せいぜい近藤勇と土方歳三、それと沖田総司程度の名前を知っている程度だったので、今回のドラマで新選組について詳しく知ることができた。
    特に最初の多摩時代がとても良かった。まだ力も何もない青い時代の若者であった近藤・土方たちが、佐久間象山や桂小五郎など大きな存在の人々の影響を受けながら、なんとか力をつけようと希望に夢を膨らませ前に進む姿は、自分たちと重ね合わされるものがあって、感情移入できるものであった。舞台も調布、府中、日野などの、自宅からそう遠くない場所だったというのも親近感が持てた。
    ドラマは、近藤・土方・沖田を軸に、彼らをとりまく試衛館のメンバーを交えながら展開していく。農民の出であった彼らは、武士として名をあげるという夢を抱きながら、あらゆる偏見や障害と戦いながら剣の腕を磨く。そしてついに機が熟して壬生浪士組として京へ上り、浪士組最大のライバルだった芹沢鴨を粛清したあとは、池田屋事件で一気に世に躍り出る。
    しかし、若者だけの集団というのは、しばしば暴走しやすいものである。新選組の外での活躍とは対照的に、内部対立とそれを抑えるための粛清が横行し、試衛館時代からのメンバーである山南敬助をはじめ、多数の仲間たちを失ってしまう。
    それでも、近藤らはなんとか幕臣という地位を手に入れることができ、晴れて念願叶って武士として認められる。しかし、その地位も、大政奉還によって幕府自体がなくなってしまい、あっけなく失ってしまう。
    そのあとは、賊軍という汚名を着せられながら、官軍である薩長の軍と戦うことになる。幕臣としての信頼を受けながら、薩長を追い払い幕府を復興させるために戦うと息巻く新選組だが、将軍である徳川慶喜自身が幕府を畳んで上野寛永寺に引っ込んでしまったことから幕臣たちの士気が低下し、新選組もあっけなく官軍に敗れてしまい、敗走先の流山でついに捕らえられてしまう。
    ドラマ自体の出来は、多摩時代から芹沢粛清にかけての完成度の高さに比べ、山南切腹以降の後半部分については、かなり作り方がチープになっていったように感じた。これは完全にペース配分を誤ったとしか言いようがない。多摩時代の描写が10話程度の話数なのはまあ適切だと言えるだろう。しかし多摩から京に上る場面だけで3話も費やし、さらに道中で2話、京に着いてから落ち着くまでに2話もかけたのは明らかに多すぎだ。その結果、大政奉還以後になると残り話数が足りなくなってしまったのか、かなり駆け足で端折りながら進んでいったように思う。特に新選組最大の本格的な合戦である鳥羽伏見・甲州勝沼の戦いにかけての描写は酷かった。特に今年は同じ時代を扱ったハリウッド映画「ラストサムライ」を見てついつい比べてしまうというのもあるが、合戦シーンの貧弱さが目立つ上に、ストーリー自体まにあわせで作ったとしか言いようがない。ただそのおかげで、あれよあれよと頂点から転落していく新選組を表す効果はあったのかもしれない。
    そして迎えた今日の最終回。ドラマの展開は最終回らしく盛り上がりを見せていた。が、やはり、タイトルが「近藤勇」ではなく「新選組!」というからには、近藤の最期で終わらせず、せめて土方の函館戦争まで持っていってほしかったと思うのは、僕だけではないと思う。特に会津~蝦夷時代の土方には見るべきものが多くあったと思われるだけに、単発ドラマでよいから続編をぜひ希望したい。

    【関連サイト】

    新選組百科事典
    だんだら通信

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  • 宛先間違いが多い!

    今朝、いきなり家でFAXが来たかと思えば、

    ○○通商(株) 御中
    工業機械部 ××様
       セラミック成分表
       12/15 ヤマト運輸飯島営業所止にて
       発送お願いします

    そんなこと言われてもどうせえっちゅーねん!

    と思っていたら、今度は携帯が鳴り出した。発番号に見覚えがないので取らずに放っておいたら、留守電録音モードに移行したので、あとでその留守電メッセージを聞いてみると、

    「もしもし長官、できるだけ来てね☆じゃあね!」

    という男性の声。バックグラウンドには子供のはしゃぎ声。長官って……誰やねん;

    なんしか今日は俺のところに間違い電話&FAXが多かったぞ!

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  • Vodafone 3G (V702NK)

    NOKIA6630をベースとしたW-CDMA/GSMデュアルモード端末がボーダフォンから12月8日にV702NKとして発売された。
    GSMトライバンド(GSM900/1800/1900)対応なので、日本はもちろん、アメリカにもアジア・ヨーロッパにも持ち出し可能。Symbian OS搭載でスマートフォンとしての使い方も可能とうたわれている。2chでの前評判も上々で、「軒神様」「ネ申木幾」などと言われ期待されている。国際ローミング端末としての機能に目をつけていた僕は、さっそく発売日の8日に買ってしまった。
    近所のボーダフォン・ショップは既に品切れ(というかそのショップには2台しか入荷してなかったらしい。おまえら売る気あるんか>ボーダ)で、新橋のキムラヤという量販店まで足を延ばしてゲットした。新規契約で8800円。但し2年契約のプランとVodafone Live!、ボーダフォンアフターサービスへの加入が条件。
    さて使ってみた感想は、決して悪くない。電源起動時のメロディや着メロ(Nokia Tune)が、以前シンガポールで買ったNOKIAのGSM端末と同じだし、ユーザーインタフェースも似ているのが気に入っている。メニューを英語モードに切り替えるとまんま海外端末そっくりになる。通話品質もクリアだ。
    さっそくボーダフォン仲間にSMSを打ちまくる。SMSとはショートメッセージのことで、140バイト程度の短文を相手の電話番号めがけて送ると、SMS対応の電話機にそのメッセージが表示される機能である。GSM圏の携帯電話であればどこの国の携帯でもだいたいこの機能を備えている。もちろんボーダフォンからそういった海外事業者の携帯にもSMSを送ることができる。但しNTTドコモのFOMAには送ることができない。FOMAはFOMA同士でしか通用しない独自のショートメッセージの規格だからである。
    キャリア側の都合なのか、NOKIA6630が実現できる機能のうち一部は制限されているようである。例えばV702NKにはRealPlayerという音楽再生アプリケーションが標準でインストールされているが、そこにMP3ファイルを勝手に持ってきて聴くことはできない。そんなことをされてはキャリアの〈着うた〉サービスが成り立たなくなるからだろう。またSymbian OS上で動くアプリケーションをダウンロードして実行する機能がNOKIA6630のもともとの機能としてあるのだが、V702NK上で実際に動くアプリケーションはあらかじめ認証を受けたものに限られ、自分で勝手に作ったアプリケーション、いわゆる〈超勝手アプリ〉を動かすことはできないようになっている。セキュリティ上の理由というのが表向きの理由だが、超勝手アプリに期待して買った層からは大きな失望が沸き起こり、2ch上でも一時は祭りになってしまった。これについては草の根レベルで対応策がとられている模様で、2~3日すると祭りも沈静化した様子である。
    日本の国産の携帯とは少し趣が違っていて良くも悪くも癖のある携帯である。カメラでQRコードを撮影したり、GPS機能をフルに使ったり、おサイフケータイとしてsuicaをインストールして使ったり、その他最先端の機能をバリバリ使いこなしたい向きにはおすすめできないが、モデルチェンジしてもユーザーインタフェースが統一化されていることや、メニューなどがわかりやすい構成になっていることなどを肌で実感すると、世界の大部分の国でNOKIAがトップシェアで使われているのもうなずける気がする。

    【関連サイト】

    NOKIA社によるプロモーションビデオ
    Vodafone702NK/Nokia6630まとめ

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  • NOKIA6630

    ノキア・ジャパンから新機種「NOKIA6630」の日本語版が発表された。
    NOKIA6630
    W-CDMAと、GSMトライバンド(GSM900/1800/1900)対応なので、アメリカにもアジア・ヨーロッパにも持ち出し可能。もちろん日本国内でも使える。
    SIMフリーのノキア・スタンダード・バージョンと、ボーダフォンユーザ限定版のボーダフォン・バージョンとが用意される。ノキア・スタンダード・バージョンはEメールクライアント(POP3/IMAP4対応)搭載。また、ステレオヘッドセットで音楽が楽しめるミュージックプレイヤー機能も搭載しているとのこと。
    ボーダフォン・バージョン(Vodafone 702NK)は、Vodafone live! に対応しており、SMS/MMS、Web、Vアプリが使える。
    先日香港で買ってきたプリペイドSIMカードをこいつに挿せば、日本でも有効利用できるし、もちろん海外(北米含む)にそのまま持ち出して使うことも可能というわけだ。
    ボーダフォン・バージョンは年内に出荷予定とのこと。ノキア・スタンダード・バージョンは来年初頭に発売予定。
    ノキア・ジャパン ホームページ

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  • 香港高飛日記(其参)~大仏を見たかったが…~

    香港大仏は世界一の大きさだという。ランタウ島に寶蓮寺(ポーリン寺)という禅寺があって、そこに天壇大佛という露天の大仏さまが座っているのだそうだ。梅窩から近そうだし、空港に戻るまでに立ち寄ってみようと思って、この朝は早めにホテルをチェックアウトした。

    梅窩(ムイウォー)から昂平(ゴンピン)行きのバスに乗れば、途中に寶蓮寺のバス停があり、そこで降りると大仏まで行けるようなのだが、いかんせんバスの本数が少なく、1時間~1時間半に1本というありさま。この日は15時の飛行機に乗らなければならない。国際線なので、少なくとも3時間前までには空港に到着しておきたい。天壇大佛が開くのは10時からなので、30分ほど大仏を見たとして、10時半に寶蓮寺を出て梅窩に戻り、そのあと機場行きのバスに乗り換えて空港に着かなければならない。梅窩~機場間の所要時間は約40分。寶蓮寺~梅窩間はよくわからないが、かりに30分を見込んだとしても、バスの本数から考えて、寶蓮寺から空港まで1時間半で移動するというのはどう考えても無理がある。

    ということで、今回は残念ながら大仏を見るのは断念し、そのまま梅窩から機場行きのバスに乗って空港へ向かった。

    バス停を出るといきなりアップダウンの連続である。ランタウ等は急峻な山が多く、クルマが1台すれ違えるかどうかというような狭い道の急な上り坂を超低速で走る。道路もコンクリート舗装で、バスはガタガタ揺れる。道端には牛が放し飼いで歩いていたりしてなかなか牧歌的な風景である。

    30分ほどこのようにして走っていると、東涌(トンチュン)の街に出た。ここはニュータウンであり、今までとは打って変わって整備された道路と高層住宅が現れる。

    東涌を10分ほど走っていると、機場の敷地内に入る。この敷地内をぐるぐると走り回り、ようやくバスの降り場に着いた。

    空港に着いたのは朝の9時半ごろ。バスターミナルからエレベーターでいっきに7階の出発ロビーに上がる。さっさとカウンターでチェックインしようと思ったのだが、チェックイン開始時間は12時50分からだという。すっかり暇になってしまい、空港の建物内をぶらぶらしたり、土産物屋をはしごしたりした。

    売店で新聞や絵葉書などを買う。だいたい香港の新聞は、一面トップに事故処理現場の写真を載せるような超過激な作りになっている(さすがに死体の部分だけはモザイクがかかっていたが)ものなのだが、この日の新聞の一面。

    広東語なので正確にはよくわからないが、深圳に行った香港人の旅行者の男性が、現地の女性に麻酔薬を仕掛けられて殺され、金を奪われたとか書いてある。取締りの緩い中国本土ではこの種の麻酔薬が簡単に手に入るそうで、ターゲットの飲み物などに混入されて昏睡状態にさせ、その隙に金を奪うという手口が、これまでわかっているだけでも5件発生したのだという。まことに深圳は何が起こるかわからない。行かなくて正解だった。

    空港の外には、中華人民共和国の国旗がはためいていた。もう香港も中国の一部なのである。ただ、中国本土ではなく香港を旅行先に選んだのは正解だったかもしれない。文革の嵐ですっかり変質してしまった本土よりも、香港のほうが古き良き時代の中国情緒に触れることができたのではないだろうか。

    土産を買っていると、すっかり昼どきになってしまったので、上の階にあった上海点心レストランで、最後の本場中国料理を味わう。もうすっかり胃が重苦しくなっていたので、粥と肉饅だけですませた。それでも青島ビールだけはしっかり頂いたのだが。

    昼食を終えると、全日空のカウンターが開いたので、チェックインして搭乗券をもらい、そのまま出境手続きをすませて手荷物検査を受けた。ここの手荷物検査もアメリカ並みに厳しく、金属探知ゲートでひっかかった僕はすぐさま係員に脇へ寄せられ、両手を挙げさせられて身体のすみずみまで金属探知棒でチェックされた。

    ようやく出境エリアに出たので、免税店に立ち寄ってお買い物を始めた。これまで港内では(HSBCでの預金を除いて)交通費含めても1000ドルも使わなかったのだが、ここで財布の紐が一気に緩む!免税品だけで1500ドルぐらい使ったんじゃないかな。買ったのも怪しい高粱酒や霊芝酒みたいなものばっかりだった……。

    香港の空港はターミナルビルが1つしかなく、出境手続きの手前まではこじんまりしているのだが、出境エリアの内部は異様に広い。免税品店も数が多く、さんざん買い物をすませてから出発ゲートにたどり着く頃にはすっかり疲れ果ててしまった。そういう人たちを見越して出発ゲート近くに「足ツボマッサージ」の店が用意してあるというところも、香港らしい商魂か。

    ゲートのベンチに腰掛けていると、空港職員のお姉さんが寄ってきて、アンケートを取らせてほしいと言ってきた。内容は、今回の訪港の目的、訪問した場所、利用した交通機関、港内で使った金額、訪問した観光地の全体的な印象(5段階評価)などなど、10分程度のものだったが、こうやって少しでも香港を良くしていくために観光客から聞き取り調査を熱心にするという姿勢は、好感の持てるものだった。

    15時前にゲートがオープンして搭乗が始まった。15時25分に飛行機がブロックアウトしたのだが、離陸待ちの飛行機がタクシーウェイを数珠繋ぎに並んでいて、結局離陸したのはブロックアウトから20分後のこと。しかしそのあとの飛行はとても速く、あっという間に台湾を通過し、東シナ海を抜け、鹿児島~土佐清水~串本と通り過ぎて、3時間半ほどで成田近辺にたどり着いた。機内食を食べて一息ついたら、もうベルトサインが点灯し、あれよあれよという間に成田空港に着陸してしまった。

    入国審査~税関検査はあっという間に通過し、着陸から15分もしないうちに到着ロビーから外に出られたのだが、それから次の成田エクスプレスまで1時間ほど待たされ、結局帰宅したのは成田に着いてから3時間後のことだった。

    非常に充実した今回の旅であったが、やはり2泊3日というのは厳しい。もう1日欲しいところだった。しかし香港の様子もわかり、携帯も買い銀行口座もできて香港での足がかりも出来たということで、今回の訪港はそれなりに意義のあるものだったと思う。日本の延長のように気軽に行くことができることがわかったので、また訪れてみたいものである。もちろん次回は大仏を見るのだ。

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  • 香港高飛日記(其弐)~HSBC口座開設、黄大仙、尖沙咀~

    翌朝、ホテルの周辺を散歩してみる。のどかなビーチを犬を連れて散歩する人がいたりする。ここは香港とはいっても喧騒な雰囲気ではなく、千葉か和歌山の海の家といった感じ。

    Silvermine Beach

    ホテルの裏手を回ると、トタン張りのぼろぼろの家々が連なり、ばあさんが手押し車を押しながら道を歩いている。そして地元のおばちゃんが「ネイホー!」などと言いながらご近所に挨拶して回っている。ここにも、人々の日常の生活があった。

    さて今回の香港旅行の大きな目的は、香港の銀行に口座を開設することだ。香港は日本から一番近いオフショア地域と言われており、日本の銀行よりも税制面でメリットが大きいといわれている。また日本の銀行の格付けやひいては政府の信頼性などを考え合わせると、香港あたりに資産の一部を疎開させておくのも悪くないと思われる(まあ僕の「資産」などたかが知れているが)。

    香港にもいろいろ銀行があるが、一番代表的なものの1つは英国系の銀行であるHSBC(香港上海滙豐銀行)で、そこに「Easy Savings Account」という口座があり、外国人でもパスポートと住所を証明する書類があれば誰でも口座開設できる。5000HKD(約75000円)以上入れておけば口座維持手数料が免除されるし、インターネットバンキングも可能なので日本に戻ってからも中身をいじることが可能である。ATMカードも発行されるし海外送金制度を使えば日本からでも不自由なくお金の出し入れができるのだが、口座開設だけは香港に出向いて行わなければならないので、今回の訪港をきっかけに口座開設をすることにした。

    フェリーで梅窩(ムイウォー)から中環(Central)へ向かう。中環にそびえたつHSBCビルに入っていった。

    そこのATMでお金を下ろし、総額5000HKDを握り締めて入口に立っている受付のお兄さんに「I would like to open an Easy Savings Account.」と声をかけた。パスポートと住所を照明するものを見せるよう言われたので、持っていたアメリカの銀行の小切手帳の住所欄を示すと、「オッケイ」と言われて専用ブースへ案内された。

    ブースでは40歳ぐらいの女性が口座開設を担当した。「あなたは香港の住民ですか?」「香港で働いていますか?」などと質問してくる。いずれも違うと答えると、パスポートと小切手帳のほかに、「driver's license」を見せるよう言われた。日本の運転免許証でいいですか?と訊くと、それでいいという。免許証を出すと、それを受け取って免許証番号や住所欄などをチェックし、

    「小切手帳の銀行からのbank statementはありますか?」

    と訊いてきた。そんなものは用意して来ていない。すると、

    「本来なら見せてほしいところですが、パスポートと免許証を提示してくれたので、口座の開設は可能です」

    と、OKしてくれた。

    そのあとは口座開設用のフォームに指示されたことを書き込んでいく。名義人の名前から住所・電話番号に始まり、勤務先とその連絡先、平均月収、独身かどうか、今後の取引利用予定回数、月間予定預け入れ・引き出し金額、などを書いていった。中には「口座開設の目的」「資金の出所」なんていう欄もあって、なんて書いていいのか一瞬とまどったが、目的は「PERSONAL SAVINGS」、資金の出所は「MY OWN CASH」などと適当に書いておいたら、無事に受理された。

    担当の女性は書類を持ってブースを離れていき、しばらくして戻ってきて

    「ATMカードは登録した住所に後日郵送されます。有人窓口で引き出しなどの取引をするとその都度20ドルが手数料として差し引かれます。また残高が5000ドルを下回ると月40ドルの手数料が引かれます。それではこのあと反対側にあるカウンターに行って預け入れをしてきて下さい」

    と言って、A4版2~3枚ほどの説明書類と一緒に、真新しい通帳を渡してくれた。

    僕は礼を言って席を立ち、教えてもらった預け入れカウンターに向かった。カウンターがいっぱいあってどこに行けばいいか迷っていると、カウンター越しに行員のお姉さんが手招きしてきたので、そこへ行って5000ドル預金をしたい旨伝えると、手続きをしてくれた。

    無事に通帳に5000ドル分が記録され、僕の資産の一部は香港に残ることとなった。まあ5000ドルごときで資産もクソもないが。

    HSBCビルをあとにして、中環のスターフェリー乗り場に行き、香港名物のスターフェリーに乗って尖沙咀(チムサアチョイ)に行く。

    Bayside view

    尖沙咀のフェリーターミナルを降りて、すぐ前の星光行(Star House)ビルに入ってみる。中国風の独特の匂いが鼻を衝く中、PC関係のショップや中国料理店などが入っており、なかなか面白い。

    昼食どきになったので、そこの4Fにある「翠園大酒棲.(Jade Garden)」に入り、飲茶。やはり点心は油っぽくて、なかなか食べられない。美味いことは美味いのだが。ということでひたすら中国茶と青島ビールをガバガバ飲んでいた。

    食後は星光行ビルを出て、Salisbury Roadを東へ歩いてみた。左手にかの有名なペニンシュラ・ホテルが見えた。1泊2000HKD(約30000円)もする超高級ホテルである。正面には大きな噴水があり、石造りの立派な建物が威容を放っている。

    ペニンシュラ・ホテルを左に折れると、彌敦道(ネイザン・ロード)である。

    Nathan Road

    中環の整いぶりとは対照的に、この界隈はかなり猥雑な雰囲気である。重慶大廈(チョンキン・マンション)など、ビルの外壁がはがれおち、まるで解体中かと見まがうほど荒み切っている。怪しげなインド人やマレー人みたいなのがそこここに立っており、歩いていると声をかけてくる。なるほどこんなところで買い物袋いっぱい抱えて歩いていると狙われるわけだ。身の危険を感じ、さっさと地下鉄の入口から下に降りる。

    次なる目的地は黄大仙廟(ウォンタイシンミュウ)。かなり大きな道教の寺院とのこと。なかなか日本ではお目にかかれないものだし、ご利益のありそうなところに行って拝んで来るのも一興かと思って。

    尖沙咀から赤い地下鉄(荃灣線)で3駅行き、旺角駅まで行くとホームの向かいに緑の地下鉄(觀塘線)の乗り場があるので、そこで觀塘線に乗り換えて、黄大仙駅で降りる。駅の出口を上がると、すぐに黄大仙廟の入口になる。

    Wong Tai Sin Temple

    おじさん、おばさんから若い女の子まで、いろんな人たちがお参りに来ていた。門前で売っている長い線香の束のようなものを買って中に入り、参道の脇に置いてあるガラス張りの油灯の中で燃えている小さな炎に線香の束を突っ込んで火を移し、煙立つ線香を捧げ持って本殿に進み、深々と3回、お辞儀をして拝礼するのだそうだ。

    Wong Tai Sin Temple

    みな真剣そのもの。中にはひざまずき、土下座をするように一心に祈っている人たちもいた。

    People worshipping Wong Tai Sin

    供え物も日本とは違っていて面白かった。鶏の丸焼き1羽や油などを拝殿の前に置き、その手前で跪いて祈るのである。

    僕もためしに3度礼をして、「お金ください」とお願いしてきた。だけど線香も買ってないし、きっと願い事は聞いてもらえてないだろうなー。第一日本語通じないか。

    拝殿の脇には、2階建てになっている建物があり、中に入ると占い横丁のようになっている。幅2~3メートルほどの小さな仕切りがいっぱいあってそれぞれに専門の占い師がひかえており、訪れるといろいろと占ってくれるらしい。この2階建ての横丁に実に150人もの占い師がひしめきあっているという。僕は占ってもらわなかったが、建物の中に入ると、まず日本では味わえない独特の甘い神秘的な香りが全体に漂い、この怪しげな雰囲気を楽しむだけで十分満足だった。

    道教の寺院では、拝殿の前に賽銭箱は置いていない。その代わりに、参道の途中で寄付金箱のようなものが置いてあって、そこに任意でお金を入れていくようになっている。それとは別に、中国庭園のようなものがあって、そこに入るには2HKD(約30円)必要である。といっても門番がいるわけでもなく、お金を入れる箱が置いてあるだけでそこに勝手にお金を入れていくシステムである。お金を入れずに入ってもとがめる人はいないしきっちり2ドル入れなくても誰もチェックしないのだが、僕はちゃんと2ドル入れていった。

    中国庭園はまさに中国風の回廊と風景がいっぱいで、西遊記の中の世界にいるような感覚だった。きっちり回るとゆうに1時間はかかる。

    Wong Tai Sin

    黄大仙廟を出ると、午後3時ごろになっていた。このあとは地下鉄を適当に乗り継いで香港市街地周辺をまわる。觀塘線は黄大仙駅を過ぎてしばらく東へ走ると地上に出るのだが、そこから見える景色は、かなり汚い街という印象がした。もちろん日本にだって下町も汚いところもあるのだが、そういう次元を遥かに通り越した、饐えた街という感じである。おそらくこのあたりは地元の人の住宅地域だと思うのだが、観光客の目に触れない場所は手を入れないというのが露骨に表れているところにこの都市の気質を感じ取った。まあいい加減な観察なので外れているかもしれないが。

    KCR Kowloon Tong Station

    觀塘線を再び逆向きに乗り、九龍塘駅で九廣東鐵(KCR)に乗り換えてみる。手元のガイドブックによれば、そこで確か紅磡(ホンハム)というところまで行けるはずである。と思いきや、

    K C R は 尖 沙 咀 ま で 延 伸 し て い る

    ことが判明。「尖東」という新駅が紅磡の先に出来ていて、そこで地下鉄の尖沙咀駅と連絡しているようである。

    KCRの車内は、さすが長距離列車だけあって、非常に乗り心地が快適。車内には中国本土のものらしい簡体字の広告やCHINA UNICOMの広告などが張ってある。5分ほどであっという間に尖東駅に着いてしまった。

    夜は尖沙咀の美麗華商場(ミラマー・マーケット)4Fにある雲陽閣川菜館という四川料理レストランで夕食。紹興酒の熱燗に、舌が痺れる本場の麻婆豆腐を堪能した。もたれ気味の重苦しい胃に喝が入り、食が進む。他にダックの丸焼きと小籠包をオーダーし、総額455.40HKD(約6800円)。けっこう高くついた。

    そのあとは、湾仔へ足を伸ばし、栄華餅家という有名な月餅屋さんの本店で老婆餅というのを会社へのお土産用に買ってきた後、トラムで中環へ引き返し、フェリーに乗って梅窩に戻った。梅窩の街は相変わらずまったりしており、フェリーターミナル前の安食堂では営業を終えた店の人たちが牌の大きな広東麻雀に打ち興じていた。

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