アテネ五輪 総括

約2週間にわたって熱戦が繰り広げられたアテネ五輪が、さきほど閉幕した。
今回は、日本選手の活躍が目立つ大会でもあった。金メダル16個獲得というのは、1964年の東京五輪以来40年ぶりの快挙。まあ16個目の金メダルは少々後味が悪かった感もしないでもないが、メダル総数でいえば37個であり、これは過去最多の記録である。
特に目立ったのは、女子選手の活躍であろう。女子マラソン、柔道、レスリングなどで金メダル9個を獲得したほか、サッカー、卓球、シンクロナイズドスイミングなどでも活躍が目立った。とはいっても、女子競技はわりと最近正式種目になったものが多く、新しく競技を始めた選手がほとんどなので、徹底的に強化すれば比較的早くメダルレベルまで到達しやすいので、歴史が長く選手層の厚さがはるかに違う男子の成績が振るわなかったからと言って即、男に元気がないという結論にはならない。現に男子も柔道や水泳、野球、体操などでは大活躍している。
メダルラッシュは、開幕2日目の柔道の谷選手と野村選手のダブル金メダルで引き金が引かれたのかもしれない。これで勢いづいて他の選手が触発されたといってもいいだろう。その意味では、この両選手の功績は大きい。
なんといっても目玉は女子マラソンだ。期待の坂本直子選手はあえなく7位に終わってしまったが、野口みずき選手の金メダルがそれを補って余りある。
レスリングの浜口京子選手。結果は銅メダルだったが、そのあとのさわやかな記者会見は、金メダルを取るよりも周囲の共感を買ったことだろう。
体格的にも技能的にも外国人より劣っていた日本人も、今や世界レベルで十分通用できるようになった証左であろう。特に若い世代は、外国人に対する引け目のようなものも少なく、自分の力を大舞台で出し切れる度胸のある人が増えてきたようである。
若い世代は、どんどん凄くなってきている。
先日マクドナルドで独り昼食をとっていると、何かのレッスンを終えたばかりと思われる5歳ぐらいの女の子が母親と一緒に横の席にやってきた。お行儀良く躾けられたその女の子は、時折、英単語を交えながら母親とその日の出来事を話していた。その発音がアメリカンでキレイだったりするのだ。最近、幼児からの英語教育がさかんらしい。
小さい頃から英語に触れ、コンピュータリテラシーも当たり前のように身に付いた子供たちは、あと20年後には社会に出てくるだろう。そして、僕たちよりもはるかに能力のある若者たちが、50代の僕たちを追い落としにかかってくる。僕たちのような「老害」に挑みかかってくる彼らと、果たしてやり合えるだろうか。そんな危機感を感じた昨今なのであった。


【2004/8/31追記】
男子マラソンで、トップを走っていたブラジル選手にぶつかって進路妨害した男のことだが、この男は去年はF1グランプリでコース上に乱入したこともある、いわゆる常習犯だったらしい。
もし野口みずきにぶつかってたら、心あるニッポン人の手によって八つ裂きの刑に処されるところだっただろう……。


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