3月29日から始まった朝の連続テレビ小説「天花」。出だしからいきなり大不評のドラマで、僕もとりあえず1週間ぐらいは我慢して見てみたのだが、やはりついていけなかった。
ヒロインの藤澤恵麻の演技が宇宙企画のビデオの導入部レベルなのは、新人女性の登竜門という朝ドラの位置づけ上、まあ大目に見るとしよう(それにしたって、雑誌モデルというだけでろくに演技経験もない人を主役に据えるというのもどうかと思うが)。問題は脚本だ。時系列が滅茶苦茶で視聴者は混乱するとはいうわ、戦時中の描き方にしたって時代考証が杜撰とはいうわ、登場人物の出し方も不自然だしセリフは寒いし、どこをとってもいいことなしである。演出も問題だ。ライティングがまずいので昼か夜か不明瞭だったりするし、稲刈りの季節なのに稲が青々としていたり、とにかく作りが雑すぎるのである。
片平なぎさ、竹中直人、香川照之、財津一郎など、脇にはいい役者を揃えているものの、それらを十分使い切れていない。ヒロインの〈顔だけで〉もっているドラマといっていい。音楽だけはかろうじて聴くに堪えると思っているので、それならいっそのことドラマはやめて、ヒロインとBGMだけでプロモーションビデオでも15分流してはどうだろうか。宇宙企画かKUKIが制作で、藤澤恵麻と市川実日子あたりを出演させる、というのも個人的に可だ。
人は、良いモノだけを見るようにしなければならない。悪いモノを見ると審美眼が狂ってしまう。ドラマにしても、名作だけを見るべきであり、腐ったドラマなど見てはならないのである。
ということで、来週から僕はこのドラマは見ないことにする。
「天花」を見てはみたものの……
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