これまでのエントリーで、日本の銀行の問題点について色々述べてきたが、では実際に日本で生活している日本人は、どのようにして自己防衛していけばいいか。
日本の銀行に多額の預金を置いておくのはきわめて危険だということはわかった。では、どこの国に置いておけばいいのか。
結論から言うと、アメリカの銀行が最も安全であるといえるだろう。税制面での有利性からいうと、香港の銀行も魅力的だが、香港の銀行は既にHSBCの例からみてもわかるように、不正利用に対する顧客保護が日本なみに脆弱である(イザとなったら広東語を使って思いっきり文句をまくしたてられる人なら、話は別かもしれないが)。ヨーロッパの銀行も顧客保護の面からは進んでいるといわれているが、英語が通じにくい、という点で、万人向きではない。やはり、消去法でアメリカの銀行が一番無難、ということになるのではないか。アメリカの銀行なら、法律で「50ドルルール」が適用されるので、万一ATMカードが偽造されて不正使用されたとしてもフェイルセーフ機能は万全だ。
さてアメリカの銀行に口座を開くに当たって、日本にいながらでも口座を開け、日本語が通じ、最も手軽な方法といえば、東京三菱銀行の海外口座紹介サービスを利用したUnion Bank of California (UBOC)ではないだろうか。昔は三和銀行(現UFJ銀行)にも同様のサービスがあったそうだが、UFJ銀行への変更にあたり立ち消えになってしまったようだ。UBOCの口座開設はパスポートか運転免許証のコピー、そして東京三菱銀行の口座があれば、誰でも申し込むことができる。申し込みの書類は日本語で書けばいいし、口座が開かれてからのテレフォンバンキングも日本語が通じる。
ただし口座開設には東京三菱銀行に口座を持っていることが条件となる。普段日本で生活する人は、いくら不満があったとしても日本の銀行から完全に手を切ることは出来ないだろうから、決済用口座と割り切った上で東京三菱銀行の普通預金の口座を持っていればいいのではないか。給料の振り込みもその口座を指定して、公共料金の口座振替も各種振込みもその口座を使う。給料が振り込まれたら余剰資金は即座にUBOCの自分の口座に送金する。海外送金には東京三菱銀行側、UBOC側合わせて約4000円ほどの送金手数料がかかるが、スキミング被害に遭って何百万円も一瞬で引き出されるリスクを考えたら、保険だと思えば安いものなんじゃないだろうか(手数料をもっと安くあげたければ、いろいろ方法がある。これについては後日述べたい)。途中でおカネが必要になったら、UBOCのATMカードを使って、郵便局のATMかシティバンクのATMを使って引き出す。一回の引き出しで手数料が3ドルかかるが、これも安心料だ。
東京三菱銀行の口座のほうには、クレジットカードの引き落とし予定金やその他いろいろな支払いに必要な金額だけを残しておく。東京三菱銀行の口座から直接お金を引き出す必要がないようにしておけば、東京三菱銀行のキャッシュカードも必要ない。家のタンスの奥底などの、泥棒に入られても見つけにくいようなところにしまっておけばいいのだ。できればキャッシュカード自体を作らない、という方法もアリかも。
余剰資金は、UBOCのSavings Accountに貯めておく。300ドル以上入れておけば口座管理手数料は免除され、日本の普通預金なんかとは桁違いの利子がつくはずだ。さらに余裕が出てきたら、投資口座の利用なども考えてみてもよい。
預金+資産運用はUBOC、お財布代わりの出し入れ+住宅ローンなどの借り入れには東京三菱銀行、と使い分けるのが最適な銀行利用法だと思うのだが、どうだろうか。