Category: Heckling やじ

  • 新調した服は必ず汚されるの法則

    秋になったので、6万円出して思い切ってベージュのコーデュロイのスーツを新しく買った。もう30歳も過ぎた身では、3万円の安物スーツをいつまでも着ているわけにはいかない。
    そのスーツを着て、会社帰りの西武線の電車に乗った。池袋で電車に座って待っていると、30代ぐらいの男性が缶チューハイのような飲み物を持ったまま隣に座ってきた。
    まあそれはいいのだが、電車が動き出すと、その男性は、座ったまま寝入りだして、僕の肩にしなだれかかってくる。まあそれもまだ許せる範囲なのだが、大泉学園の駅に着いたとき、そのオッサン、電車が止まった拍子に持っていた飲み物を思いっきりこぼしやがった。
    そのとき、僕は違う方向を向いていてその瞬間に気づかなかった。なんか身体が冷たい!と感じて振り向くと、そのオッサンが座席を水浸しにしていたのだ。当のオッサンはバツが悪そうに「スミマセン」と小声でうわごとのようにつぶやくと逃げるようにドアからホームに降りていきやがった。おかげで僕の6万円スーツは台無し。こんなことなら、寝てる間にオッサンの財布でもスッておけばよかった。
    かなり前になるが、滅多に着ない高いスーツをたまたま着て会社に行き、昼食の時間に食堂に行くと、近くにいたオッサンが食べ物を満載したトレーをはずみでひっくり返し、その飛沫が僕のスーツにかかったこともあった。もちろん、わざとじゃないので怒るわけにもいかず、ぶつけどころのない怒りに打ち震えるしかなかったのだが、どうやら、僕が新しい服や高級な服を着ていると、きまって誰かが狙ったようにそれを汚しにかかるかのようにさえ思える。
    いっそのこと、高いスーツを新しく買ったら、まずはゲロでも吐いて一度汚してから着るようにしたほうが、余計な気負いが消えて意外と良かったりして……なわけないか。

  • 馬鹿ばっか;

    会社帰り、地下鉄の銀座駅から池袋行きの丸の内線に乗ったところ、銀座駅を出てからしばらくして、急に車内の照明が暗くなったと思ったら、電車が急減速した。そして、車内に
    「ただいま、(2駅先の)大手町駅にてお客様が線路内に立ち入ったとのことで、安全を確認しております」
    という車掌のアナウンスが流れた。電車はそのまま徐行して、東京駅のホームに滑り込み、そこで急停止するようにかっくんと停車した。
    そこまではいいのだが、ホームの乗車位置に乗客が整列し、かつ車内には降りようとする客がドアの前に列をなしているにもかかわらず、電車は停まったまま、ドアが開かない。
    送電が止められているので、冷房も切れてしまい、窓もドアも開かないので、車内は蒸し暑くなってきた。車掌は相変わらず
    「ただいま大手町駅にてお客様が線路内に立ち入った関係上、状況を確認しております。その関係で、ただいま電車が停車しております」
    と何度も同じ言葉を繰り返すばかり。それはさっきから何回も聞いてるっちゅーねん! オマイはNHKの災害中継か! 馬鹿じゃねーのか!? 車内の苛立ちは最高潮。
    10分ほどして、ようやく安全が確認されたとのことで、電車が動き出した。停まっていたところからほんの20~30メートルほど動き、本来の停車位置に止まり、ドアが開いた。
    それやったら最初から本来の停車位置に止めっちゅーねん! アホか!!

    Technoratiタグ: | | | | | |
  • アウトプット

    だいたいどこの会社でも最近は「成果主義」がブームで、年功的要素よりも「アウトプットを評価する」人事考課制度にシフトしていっている。

    特に若い社員は、自分と同じような仕事しかしない(と思っている)先輩社員のほうが自分より高い給料をもらっている実態を業腹に思っているようで、成果に応じて報いる給与体系への転換を特に声高に要求している。

    そういうことを言う人は往々にして自分のことを「仕事のできる人間」だと信じており、給料以上の成果をあげているはずなのに相応の報酬を得られていないと不満を感じているようだが、実際にふたを開けてみると、自分が思っているほどに「成果」を認められず、結局給料だけ安く切り下げられているだけに終わっている、というパターンが多かったりする。

    まあそれは置いといて、成果や業績に応じて評価する給与体系は、柔軟に運用できるし、給料をもらう側の納得性も高いように見える。

    ただし、それは「アウトプットのある仕事」をしている人の場合だ。

    アウトプットの出ない仕事、つまり非生産部門や、バックオフィス業務、あるいは既にリリースした製品・サービスのオペレーションやメンテナンスにたずさわる仕事をしている人については、ものを「生み出す」ことがミッションでないだけに、成果主義のもとでは評価しにくい。いきおい、「何もアウトプットを出さない=何も仕事をやっていない」と見なされ、低い評価に甘んじさせられることになってしまう。そればかりか、「非生産部門=金食い虫=会社のお荷物」扱いされ、真っ先にコスト削減の対象とされて、ぎりぎりの状態で仕事をせざるを得なくなる。

    アウトプットを出さないものは、価値がない、と見られているのが現代の風潮なのである。

    8月9日、関西電力の美浜原子力発電所3号機のタービン建屋で、高温高圧の蒸気が噴き出すという事故が発生した。直接放射能に触れる一次系冷却水の事故ではなかったので放射能漏れなどの最悪の事態は免れたものの、今回の事故で熱水を浴びた4人が死亡し、7人が重傷を負うという大惨事となった。

    詳しい事故原因については今後の調査が待たれるが、破損した配管は20年以上交換されていなかったのだという。関西電力の体質がどのようなものかは知らないが、設備のメンテナンスはコストがかかるばかりで何もアウトプットを出さないことなので、「費用対効果」に照らし、積極的に行わず後回しにしたなどという意識があったのだとすると、恐ろしい。

  • 何のためのセキュリティか

    最近相次ぐ情報漏洩事件を契機に、どこの会社でもセキュリティ対策に躍起になっている。これまではどちらかというと外部からの侵入やサイバーアタック対策がメインだったのが、このごろは内部の人間による不正行為が目立ってきていることもあり、社内からまず疑えという空気になってきており、内部向けの対策が主体となっているようだ。

    オフィス内に特定の人間しか立ち入れない領域をつくる、社内のコンピュータにアクセスできる人間やアクセス可能なファイルを限る、身分証明書を常に肩からぶらさげて掲出する、はてはPCの持ち出しや私物の持ち込みまでも制限する……中で働く人間にとって、だんだん窮屈になってきている気がするのだが、「セキュリティ」という錦の御旗のもとでは、誰も何も言えない。

    セキュリティ対策とは、「それにかけられるお金」と「守りたいもの」と「許容できるリスク」との兼ね合いだとどこかで習ったことがある。たとえば、家を侵入者から守るために、いくらでもお金をかけて強力な鍵をつけ、警備会社と契約し、生体認証システムを玄関に付けて家人の出入りまできっちりと管理し、果ては窓まで取っ払ってしまえば、ほぼリスクフリーの鉄壁の守りができあがるだろう。だが、窓もなく出入りまで監視されるような家に、誰が住みたいと思うだろうか。それに、その家にほとんど金目のものがなかったとしたら、わずかな価値の財産を守るために何百万円もかけて防御するなど、滑稽としか言えないだろう。

    防御を薄めればそれだけ財産を失うリスクは増えるが、それがどこまでのリスクなら許容できるか、本当に守りたいものは何かというのをまず明確にして、許容できるリスクの範囲内で必要最小限の防御レベルにするのが本来の姿だと思う。そうでなければ、際限のないセキュリティ対策をとることになってしまい、それでかえって生産性を落としたりしたら実に本末転倒といわざるを得ない。

    うちの会社でも、オフィス内の資料などを勝手に写真に撮られて持ち出されては困るという理由で、カメラ付き携帯電話の使用が制限され、オフィス内では電源オフにすることになった(そのくせ、デジカメの持ち込みは制限されてないのだから、よくわからん施策だ)。そのうち会社の入口でカンカン踊り(*)でもやりだすんじゃないかと気が気でならない。

    (*)カンカン踊り……刑務所で、囚人が出役する工場から寝泊りする舎房へ刃物や不正な物品を持ち込むのを防ぐために、工場と舎房の行き帰り時に囚人を素っ裸にして身体検査する。そのときに、囚人に両手をバンザイさせ、手に何も持っていないことを示すため手の平をひらひらさせて、股下にも何も挟んでいないことを見せるために足を片足ずつ蹴り上げるようにして看守に見せる。口の中にも何も隠していないことを見せるため、口を大きく開けて舌を上下させる。このような身体検査の姿が「カンカン踊り」に似ていることからこのように呼ばれる。

  • 悪質な訪問販売を法規制せよ

    盛岡市で、大学の名誉教授の83歳の男性が自宅に訪れた下水道工事の訪問販売員に日本刀で斬りつける事件が発生した。

    そのためこの名誉教授は殺人未遂罪で逮捕されることになったのだが、僕に言わせれば、お年寄りを食い物にする悪徳訪問販売の連中を成敗して、表彰こそされ、なぜ逮捕などされなければならないのか。

    むしろ、「あっぱれ、サムライ!」と快哉を叫びたいくらいだ。

    訪問販売によるトラブルが問題となっている。シロアリ駆除・高級ふとん・リフォーム・新聞・生命保険・消火器・健康食品・化粧品・宗教……彼らはいきなり自宅を訪ね、口八丁手八丁、はては脅迫まがいの口調で契約を迫る。こんな連中は斬り殺されて当然なのである。

    そもそも、飛び込みのセールスが許されているのは、世界でも日本だけである。欧米先進国なら、他人の私有地に無断で立ち入れば、たちどころに射殺されても文句は言えないのである。

    訪問販売を装った強盗事件も懸念される。このような形態の販売方法は、ただちに法により規制されるべきである。

  • 裁判員法案

    以前、東京地裁に裁判の傍聴に行ったことがある。特に目的があったわけではなく、ただなんとなく法廷というものを見てみたかっただけだ。
    傷害致死事件の公判だった。被告人は2人で、いかにも人ぐらい殺しそうな人相をしたオッサン。被害者は元ホームレスで、被告人らに拾われて世話をされていたらしい。それで、被害者が酒を飲んで被告人に反抗的な態度を取ったとかで逆上した被告人が、被害者を凶器で殴り殺したとして起訴されていた。
    被告人質問であくまでシラを切り通す被告人と、それを追及する検察官の丁々発止のやりとりがなかなか面白かったのだが、傍聴人の中に、20歳ぐらいの学生ふうの女の子数人のグループがいた。おそらく社会見学か何かで法廷の傍聴に来ているのだろうが、初めての法廷に興奮気味で、開廷前などは携帯のカメラで廷内の写真を撮ったりして大はしゃぎだった。
    ところが、殴られた被害者の死体写真を被告人に見せながら殺害状況を追及する段に及んで、件のミーハー女子学生たちは恐れをなしたのか、そそくさと退廷していった。他殺体の写真は、さすがに一般人にとっては刺激が強すぎたようだ。
    しかし、一般人であっても、これからはこういう写真を見なければならなくなるのだ。
    裁判の審理に一般国民が参加する裁判員法案が今日、国会で可決・成立した。これによると、殺人事件や故意によって人を死亡させてしまった事件の裁判では、一般国民から選ばれた裁判員を交えて審理を行うことになる。裁判員は選挙人名簿から無作為に抽出される。ただし学生や未成年者、中学未卒業者、裁判官、法曹関係者、弁理士、司法書士、警察官、自衛官、国会議員、自治体首長、国の行政機関の幹部職員、70歳以上の高齢者、心身の故障で職務に支障をきたす人などは、裁判員から除外される。
    こうして抽出された裁判員候補者は、裁判官と面接し、裁判員として選任されるかどうかが決められる。ここで、偏った思想を持った人や、不公平な裁判をしそうな人は、除外される。また、育児・介護に携わっている人や、思想・信条的に人を裁きたくないと思っている人などは、申し出て認められれば、裁判員を辞退できる。
    選任されると、その事件の審理に参加することになる。法廷への出廷、評議、量刑の設定までを、裁判官と共同して行うことになる。1日出廷するごとに、日当(8000円の予定)が支払われる。
    裁判員の業務は「国民の義務」とされ、選任されると拒絶することはできない。正当な理由なく拒絶すると、10万円以下の過料に処せられる。
    また裁判員が審理中、審理後に評議内容を第三者に漏らせば、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる。
    このような制度ができる背景としては、裁判官の判決がしばしば国民意識とかけ離れたトンデモ判決が多発しているということがあって、裁判員制度によって裁判の審理に国民の目を入れることによって、より国民に納得できる判決をめざそうというのが趣旨らしい。言ってみれば、医療事故が多発しているから、医師の診断に素人の意見を加えようとしているようなものである。
    誰がこんなお馬鹿な制度を言い出したのか知らないが、まったくもって迷惑としか言いようがない。一体こんなことをして誰のメリットになるのかがいまいち見えてこない。日弁連や一部市民団体は「裁判に国民の良識が反映される画期的な制度だ」と絶賛しているようだが、本当にそう思っているのだとしたら、実にオメデタイとしか言いようがない。
    だいたい、国民がみんな良識を持っているとでも思っているのだろうか。公立中学校のクラスメートの編成を思い出してもらえればわかるだろうが、世の中には高い教養を備えた者ばかりがいるわけではなく、教養どころか首相の名前すらろくに知らない人や、常識を知らない馬鹿、いわゆる「ドキュン」と呼ばれる層の人間もいる。別に見下すわけではないが、頭が悪い、つまり物事を論理的に考えることのできない人というのは、確実にいるのである。そういう人も引っ張ってきて、同じように審理に加わらせるつもりだろうか。
    ひとたび裁判員に選任されれば、よほどのことがない限り辞退できない。「思想・信条により人を裁きたくない人」は裁判員を辞退できるとされているが、これを野放図に認めてしまうと裁判員のなり手がなくなってしまうから、相当厳格な基準を設けることになるだろう。ただ「イヤだから」という理由だけでは、到底認めてもらえそうにない。
    仕事をしている人は、仕事を休んで出廷しなければならない。サラリーマンなら、会社を休むということもできるし、会社はそれによって不利益な取り扱いをしてはならないことになっているが、取引先のお客様にそれで理解してもらえるのか。大事な商談の日に、裁判に行かされて商談に出られなかったために、破談になってしまうことはないのか。またサラリーマンではなく自営業者だったら、仕事ができなくなることによる損害は甚大なものとなろう。
    有名歌手が、そのコンサートの日に裁判に当たってしまったら、コンサートに穴を開けることによる各方面の損害は億単位ではすまなくなるだろう。そのような事情なら裁判員の辞退が認められるかもしれないが、これが有名人ではなく、たとえば小劇団の公演とか、ちょっとしたバンドのライブなどの場合なら、ひょっとしたら辞退が認められないかもしれない。たとえ小規模の劇団の公演とはいえ、もし主役が抜けてしまうことになったら、いろんな方面に相当の迷惑をかけることになるだろう。
    選挙にもろくに行かないどころか、年金すら払わない人も多い中で、裁判員として徴用されたからといって、仕事を休んでまで好きこのんで裁判所に出てくる人が、果たしてどれだけいるだろうか。仮に全員出てきたとしても、イヤイヤ連れ出された烏合の衆に、まともな審理などできるのか。
    仕事を休んで呼ばれた人は、仕事のことで気もそぞろになり、審理に集中できないのではないか。逆に無職の人などが、日当欲しさから必要以上に審理を引き伸ばしたりすることはないか。
    新聞記事によると、妻が夫を殺した殺人事件(被告は容疑を認めている)のような単純な事件の審理でさえ、証拠資料が400ページを超えるそうだ。これが否認事件や、複数の事件の併合罪の審理などになると、書証だけで数メートルを超えることも珍しくない。クレジットカードの会員規約もろくに読まない人がほとんどなのに、これだけの証拠書類をくまなく読み込み、精査し、事実認定することが出来るのか。
    めんどくさいから、証拠書類などろくに読まないで新聞や週刊誌や2chを適当に拾い読みして判断する、ということになりはしないか。
    裁判員の身の安全の確保も重要な課題だ。裁判員に対する脅迫や圧力は処罰の対象とするそうだが、それが果たしてどこまで運用上徹底されるか不明確である。ヤクザが人を脅すときは、えてして法律スレスレのところで合法的な手段で脅してくるものである。資金力も武装力も巨大な組織に付け狙われて、一個人が身を守ることができるのか。警察が生涯、護衛でもつけて守ってくれるとでも言うのだろうか。
    審理が終わってだいぶたってから、裁判員だった者が逆恨みに遭うことはないのか。被告側からの圧力に対しては相当厳しく臨むだろうが、被害者だって無辜の市民ばかりとは限らない。被害者からの圧力に対しても、対応策を考えているのだろうか。
    いかに同情の余地のない被告人であっても、自らの手で死刑を言い渡すのは、相当の精神的負担となるだろう。「人殺し」などと心無い中傷を受けるかもしれないし、その刑が執行されてしまったら、「自分が殺した」などと悩むことにもなりかねない。精神的ケアの体制は整っているのか。
    またマスコミの論調と異なった判決になった場合、特に週刊誌などにその裁判員が叩かれたりすることにもなりかねない。市井の一市民に過ぎない裁判員がどこまで耐えられるか。
    また、裁かれるほうにとっても、知らないおばさんとか下品そうなオヤジに審判されて出された判決に、納得できるのか。
    ざっと挙げただけでもこれだけの問題点・疑問点が浮かび上がるのに、それらについてマスコミは問題意識を持たないどころか、取り上げすらしないというのも、不思議な話である。
    何より恐ろしいのは、このような、リスクばかりで何のメリットもない制度を、ほとんど何も議論もなくすんなり通してしまった国会である。それを無批判にスルーさせたマスコミも、同じように恐ろしい。
    裁判員制度の運用開始は5年後である。この制度は何のためのもので、どんなメリットとなるのか、新聞やTV、「anan」や「PLAYBOY」などの雑誌を使って、納得できるまで徹底的に説明すべきだ。それができないのなら、このような馬鹿げた制度は即刻、中止してもらいたい。

  • 痴漢冤罪事件について

    西武新宿線の車内で女子中学生に痴漢をしたとして東京地裁で裁判中だった32歳の元会社員が、今日、無罪判決を勝ち取った。
    「痴漢ではない」と無罪 元会社員に東京地裁
    報道によると、元会社員は2003年2月のある朝、西武新宿線の上り電車に飛び乗った際、コートの裾がドアにはさまったのを引っ張ろうと体を動かしていたところ、その男性の前に立っていた女子中学生が、男性が自分に痴漢行為をしているものと勘違いし、停車駅である高田馬場駅で駅員に被害を訴えたため、そのまま男性は駅事務室に連行され、そのまま警察に逮捕、5ヶ月間勾留されて会社も退職を余儀なくされたという。
    無罪の決め手となったのは、男性の近くで事の一部始終を目撃していたOLの女性の証言。この女性は、男性が駅員に連行された際も、男性は無関係であることをその駅員に説明しようとしたにもかかわらず、駅員や警察はとりあわず、被害者の女性の一方的な主張を根拠にこの男性を逮捕したのだそうだ。
    女子中学生が勘違いで男性を訴えるのはまあ仕方がない。しかし、ろくに仲裁もせずに処理を警察に任せようとした西武鉄道の駅員、そして男性の言い分を一切聞かず被害者だけの主張を信用しておざなりな逮捕・起訴をした警察・検察は、一人の人間の人生を棒に振ったことを、どう考えているのか。ましてや、今回は無実を証言する目撃者までいたのである。それを黙殺し、くだらない面子のために一人の無辜の市民を葬り去った警察と検察は、猛省すべきである。
    とはいえ、痴漢事件はもともと証拠が残りにくい上、被害者が積極的に被害を訴えづらいという性質のものである。厳密に証拠を検証するとなると、立件はきわめて難しくなるし、立件が困難になると本当に痴漢に遭ってもなかなか訴えづらくなってしまう。冤罪事件よりもはるかに多いと思われる「本当の」痴漢事件に苦しんでいる女性たちも多いことだろう。冤罪事件を責めるあまり、本当の痴漢対策が及び腰になることもあってはならない。
    では、どうすればいいのか。
    ちゃんと調べない、あるいは調べることが出来ない事件に対して、ペナルティだけがあまりにも重過ぎることが問題なのである。昔なら、痴漢をやった男であってもすぐには警察沙汰にせず、厳重注意で済ませていたのではないか。1回目は逮捕ではなく、厳重注意で放免すればよい。それなら、たとえ冤罪であってもちょっと不愉快な思いをするだけで済むし、たまたま魔がさしてやってしまったバカはその場で思いっきり説教してやれば懲りるだろう。3度4度繰り返す輩については(だいたい痴漢なんてのは常習犯が多いのだ)、そのときは厳罰に処してやればよいのだ。

  • 47氏タイーホ

    Winny開発の東大助手を逮捕 著作権法違反幇助容疑
    P2Pファイル交換ソフト「Winny」の開発者で知られる東大大学院助手の47氏が京都府警に逮捕されたと報じられた。京都府警ハイテク犯罪対策室などの調べによると、群馬県高崎市の風俗店従業員らが昨年9月、Winnyを使って映画やゲームソフトを送信できるようにした疑いで著作権法違反の罪で逮捕されたのを受け、Winnyを開発した47氏をその「幇助罪」として逮捕したものである。
    違法利用されるソフトの作成、所持そのものを取り締まる法律はない。今回の逮捕も、あくまで「著作権法違反の幇助」という容疑であって、そのような容疑事実を作り上げること自体、かなり無理のある解釈であるともいえる。一説によると、京都府警の内部の人間がWinnyを使って捜査情報を漏洩した事件があり、その意趣返しのために開発者の逮捕に踏み切ったという見方もある。
    作製したソフトが違法利用に転用されたからといって、そのソフトを作成した人そのものが逮捕されるというのは、国内に例がなく、また世界的にも違法利用されたソフトの作成者に対して有罪が言い渡された例はない。
    作ったものが悪用されたからといって、その作成者を罪に問うことは果たして妥当なのか。いわば、包丁を使った殺人・強盗事件が多発していることを理由に、包丁メーカーや、包丁の発明者を逮捕するようなものであろう。京都府警の勇み足という批判も免れまい。
    問題は、PCやインターネットに関する理解に乏しい組織が、権力を振り回して国民を取り締まることにある。また、自らの権益を守るために、それを脅かすものを力ずくで叩き潰そうとする姿勢にも、国民の反発が出ている。
    技術を開発する過程で問題が出たならば、それを潰してしまう方向ではなく、問題を解決するような利用法を模索することが技術の発展に重要である。今回の一件が、必要以上にソフト開発業界を萎縮させ、日本のP2P技術の発展に悪影響が出ないことを祈るばかりである。
    【関連ブログ】
    47氏逮捕(ぷじろぐ)
    Winny作者逮捕される (活字劇場)
    いい加減色物タイーホは止めませんか? 京都府警さん (raijinの日記)
    ウィニー開発の東大助手を逮捕 (お掃除日記@掃除しろ!)
    Winnyの作者 (Nitty-Gritty)
    「著作権法への挑発的態度」が逮捕理由 (Ikaga?::MT)

    (more…)

  • 兄貴と弟分

    泥棒の兄貴と弟分が話をしている。
    「おう、どうだい、最近」
    「兄貴ィ、さっぱりです。最近、不景気で、シノギもろくにできやしません」
    「んなことあるめえよ。カネなんてあるところにはたーんとうなってるもんさ。退職金かかえてる年寄りなんて、大金持て余してンだろうよ。そういう奴から、奪っちまうのよ」
    「どうやってやるんですか」
    「銀行の機械とか、デパートの機械とかでカネ下ろしたところ、狙っちまえばいいのよ」
    「そううまくいくもんですかい。第一、そういう機械じゃ、防犯カメラだってあるだろうし、すぐ足ついちまいますよ」
    「女使やあいいのよ。それも子連れの女がいいな。よもやガキ連れた女が強盗するなんて、誰も思わねえだろうよ」
    「だけど、女に強盗なんてできるんですかい」
    「なあに、抵抗されたら、『泥棒!』とでも叫んでやりゃいいのよ。そしたら周りの正義感強い連中がわらわら寄ってきて、そのジイサンを捕まえてくれるさ。日本人ってのはフェミニストが多いからよ、女のほうが被害者みたいにしてたら、みんな女の味方さ」
    「なるほど、さすが兄貴っすね」
    「んで、どさくさにまぎれて、ジイサンが下ろしたカネでもつかんで適当にトンズラこきゃ、大成功だ」
    「でも、途中で警察が来たりしたら厄介じゃねえすか」
    「警察が来たって、状況からすりゃとっ捕まるのはジイサンのほうさ。女の言い分とジイサンの言い分じゃ、どう考えても女のほうを信じるって。女の味方して、ジイサンが逃げないように押さえつけててくれるだろうよ。うまくすりゃ、絞め殺してくれるかもしれねえぜ。なぁに、三重県警ならそのぐらいやるんじゃねえか」
    「だけど、そのジイサン、浮かばれねえな」
    「なぁに、誰も責任なんて取りゃしねえんだから、気にすることねえって」
    「防犯カメラに証拠が写ってるっしょ」
    「警官が無抵抗の一般人をボコボコに殴り倒して制圧してるところなんか、警察が公開するかよ。そんなのマスコミの手に渡ったりしたら、えらいことだぜ。適当にもみ消して、オクラにするに決まってらあ。どうだい、これで完全犯罪だ」
    「さすが兄貴、あったまいい!」
    そこへやってきた三重県警の警察官。
    「オイコラ、おまえたち! 良からぬこと考えてんじゃねえだろうな! 変なことしやがると、うつぶせにして後ろ手錠で床に20分間押し付けるぞ! 文句があるか! 文句があるならここに言え!