だいたいどこの会社でも最近は「成果主義」がブームで、年功的要素よりも「アウトプットを評価する」人事考課制度にシフトしていっている。
特に若い社員は、自分と同じような仕事しかしない(と思っている)先輩社員のほうが自分より高い給料をもらっている実態を業腹に思っているようで、成果に応じて報いる給与体系への転換を特に声高に要求している。
そういうことを言う人は往々にして自分のことを「仕事のできる人間」だと信じており、給料以上の成果をあげているはずなのに相応の報酬を得られていないと不満を感じているようだが、実際にふたを開けてみると、自分が思っているほどに「成果」を認められず、結局給料だけ安く切り下げられているだけに終わっている、というパターンが多かったりする。
まあそれは置いといて、成果や業績に応じて評価する給与体系は、柔軟に運用できるし、給料をもらう側の納得性も高いように見える。
ただし、それは「アウトプットのある仕事」をしている人の場合だ。
アウトプットの出ない仕事、つまり非生産部門や、バックオフィス業務、あるいは既にリリースした製品・サービスのオペレーションやメンテナンスにたずさわる仕事をしている人については、ものを「生み出す」ことがミッションでないだけに、成果主義のもとでは評価しにくい。いきおい、「何もアウトプットを出さない=何も仕事をやっていない」と見なされ、低い評価に甘んじさせられることになってしまう。そればかりか、「非生産部門=金食い虫=会社のお荷物」扱いされ、真っ先にコスト削減の対象とされて、ぎりぎりの状態で仕事をせざるを得なくなる。
アウトプットを出さないものは、価値がない、と見られているのが現代の風潮なのである。
8月9日、関西電力の美浜原子力発電所3号機のタービン建屋で、高温高圧の蒸気が噴き出すという事故が発生した。直接放射能に触れる一次系冷却水の事故ではなかったので放射能漏れなどの最悪の事態は免れたものの、今回の事故で熱水を浴びた4人が死亡し、7人が重傷を負うという大惨事となった。
詳しい事故原因については今後の調査が待たれるが、破損した配管は20年以上交換されていなかったのだという。関西電力の体質がどのようなものかは知らないが、設備のメンテナンスはコストがかかるばかりで何もアウトプットを出さないことなので、「費用対効果」に照らし、積極的に行わず後回しにしたなどという意識があったのだとすると、恐ろしい。
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