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泊まったモーテルは、こういう場所。

アメリカの地方都市によくありそうなモーテルですが、アメリカの文化を感じるのにはうってつけの環境かと。
朝食はこんな感じのビュッフェスタイル。これもモーテルにありがちなスタイル。

ソーセージとかベーコンとか温かい食事は一切ついてなく、オートミールを温めるかワッフルを自分で焼くかしないと温かい食べ物にはありつけません。
さてミュージカル「回転木馬(Carousel)」は1956年にゴードン・マクレー、シャーリー・ジョーンズ主演で映画にもなっていて、その映画が撮影されたのがメイン州のブースベイハーバーという場所だそうです。ポートランドからブースベイハーバーまで約50キロ。車でないと行けない場所ですが、せっかくならレンタカーを借りてアメリカドライブもしてみようと思い、レンタカーを手配していたのでした。
レンタカーの窓口はポートランドの空港にあるので、モーテルから空港に向かいます。タクシーを呼んでもよかったのですが、空港まで1キロぐらいしか離れてないので、アメリカの田舎町の雰囲気を感じるのと健康も兼ねて(?)歩いてみることにしました。




それにしても、アメリカの道路って車で通るのを前提につくられているというか、人が歩きやすいようにはできてないというのがつくづくわかります。一応歩道はあるにはあるのですが、途中で途切れてたり、道路の反対側に続いていて横断歩道を渡らなければならなくなっていたり、たった1キロの距離でも日本の道路を歩くのとはわけが違いました。

道路沿いにはこういう病院もあったり。


こういう美しい自然もあったりします。

さてようやく空港まで着き、レンタカーのカウンターに向かいます。イギリスや日本のレンタカー会社のように保険の説明だ細かいオプションの説明だなんだで時間がかかることもなく、国際免許証とクレジットカードだけ確認したら、それ以上何もきかれずにホイッと車のキーがわたされ、車の停めてあるベイNoだけ告げられて、あとは勝手に乗っていけという感じでした。


予約時に頼んだのはシボレー・マリブクラスのフルサイズということでしたが、停まっていた車は日産のQuestという車種で、日本では「エルグランド」と呼ばれるミニバンでした。日本ではコンパクトカーを運転している身で、いきなりドデカイ車に当たってしまい、とまどうことしばし。しかも左右逆なので、車両感覚をつかむのにちと慣れが必要で、油断していると右の角などぶつけそうでヒヤヒヤものでした。

イギリスで借りたときは新車に近いピカピカのクルマでしたが、こちらのは少し年季の入ったものでした。とはいってもちゃんとクルーズコントロールもついているし、気をつけて運転すればなんとかなるだろうと。まああまりうだうだ考えていても時間がなくなるので、一路ブースベイハーバーに向けてUS1号線を北上します。
左ハンドルで右側通行の道を運転するのは生まれて初めてなので、いろいろと戸惑うことが多かったです。まあ道を間違えて左側に入るということは(一番気をつけているところなので)なかったですが、駐車場への入り方や回り方、シートベルトを繰り出す手(つい右手が出てしまいます)、後方確認時のルームミラーの場所(左上ではなく右上についている)など、こまかいところで差分があると、それだけでストレスになります。それでも交通量は少なめで、イギリスなどに比べると制限速度も全体的に遅めなので、あまり怖い思いはせずになんとかなりましたが。アメリカといえば片側何車線も有るだだっ広い一本道をひたすら走っていくというイメージがありましたが、メイン州に限って言えば、車線の数も片側1車線だったり、広さも日本の田舎の道とそう変わらない感じでした。面白かったのが、真ん中の車線というものがあって、対向車線の向こうにある店などに左折して入りたいときに、その車線に入れば、本線の後続車の進行を妨げることなく対向車が途切れるのを待つことができるというしくみになっていました。その車線は進行方向が決まっておらず、対向車もまた左折したいときはその車線に入って左折待ちができるようになっていました。
ポートランドからブースベイハーバーまで約1時間。US1号線沿いには、BathだとかBrunswickだとかなんとかmouthだとか、まるでイギリスの土地にいるかのようです。さすが「ニューイングランド」と呼ばれる所以です。
さてブースベイハーバーに着くと、有料の駐車場があって、1日4ドルで停めることができました。駐車場にクルマを突っ込むと係員のおねいさんがお金をもらいに出てきて、その人に払えば、引き換えに券のようなものをくれるので、停めている間それをダッシュボードに見えるように置いておくしくみです。ちなみにクレジットカードやデビットカードでの払いもできるようです。





平日の昼日中ということもあって、人出はまばらでしたが、それだけに、静かで、とてもゆったりと時が流れる素晴らしい場所でした。
ちなみに携帯の電波は入りませんでした。
さてこの地の名物はロブスター。なかでもロブスターロールという、ロブスターの身をパンではさんでいただく食べ物がリーズナブルですばらしいです。日本のレッドロブスターもメニューに取り入れればいいのに。

「Shannon’s Unshelled」という屋外のお店で、ロブスターロールをいただきました。

ロブスターの身には、とかしバターをつけたり、レモンをしぼったりしていただきます。私はとかしバター派ですが。


食事のあとは、ブースベイハーバーの町を散策しました。




こういう島でジュリーやネティたちは宝探ししたんでしょうか。


こういう船に乗ってロブスターやニシンの漁をしてたんでしょうか。


「Boothbay Lobster Wharf」。ここでは活きたままのロブスターを注文を聞いてその場で蒸し焼きにして出してくれます。しかも2尾セットで。ロブスターにはソフトシェルとハードシェルがあって、ソフトシェルのほうが美味しいそうですがそのぶん値がはるのだとか。私はハードシェルで十分だったのでハードシェル2尾セットを注文しました。

屋外のテーブル席から見るブースベイハーバーの港も絶景でした。

ちなみにここでは海産物売り場もあります。日本の海産物売り場を想像するとがっかりします。

併設のお手洗い。片方のドアには「Buoys(ブイ)」もう片方には「Gulls(カモメ)」と、港や海に関係する言葉が書かれています。「Gulls」のほうのドアに入ろうとすると、後ろからおばちゃんが「こっちよ」と声をかけ、反対側のドアを案内されました。どうやら、「ボーイズ」と「ガールズ」をかけているようです。洒落たことするもんです。

「カルーセル・マリーナ」。ミュージカル映画にちなんで名付けられたヨットハーバーだそうです。


中に入るとたいしたものはありませんでした…。

さて近所にはこんなものも。


「Carousel Music Theater」という芝居小屋が。Carouselという言葉に反応した私はさっそく帰りに寄ってみました。開演は18時30分からで、少し時間があったので、裏手の湖沿いのフットパスを散歩して時間をつぶすことにしました。





さて時間になったので、小屋の中に入ります。ここではディナーのフルコースを楽しみながらちょっとしたミュージカルを見せてくれるという趣の場所になっていて、ここにいるウェイターやウェイトレスは全員ミュージカル劇団員で、客に食事のサービスをするあいま、自分の番がやってくるとステージに上がってミュージカル「Hello, Dolly」のナンバーや「Standing on the Corner」などの(アメリカの)懐メロの曲を中心に歌を歌ってくれました。

観客は最初まばらでしたが、開演時間になるころには、地元の老夫婦を中心にほぼ満席になりました。

前菜はクラムチャウダー。

メインはもちろんロブスターロール! ポテトチップスつきです。

そして〆のデザートは甘〜いチョコレートケーキ。甘いもの好きな私としては大満足でした。

食事のコースが全部終わると、第二幕。西部劇に出てくるサルーンを舞台に恋あり笑いありのドタバタを繰り広げるミュージカル劇。やっぱりアメリカ人が西部劇ネタをやると様になりますね。ミュージカルは80’sのヒット曲が中心と冒頭に説明があり、横に座ってた観客のおじいちゃんは「え〜80’s? 僕たちには50’sか60’sだろ」とぼやいてましたが、それでも要所要所ではゲラゲラ笑って楽しんでたようでした。私には何が面白いかさっぱりわかりませんでしたが。
第一幕と第二幕の間には劇場の支配人の女性が出てきて、いろいろと説明のようなものを始めたのですが、早口過ぎて何言ってるかさっぱりわかりませんでした。質問コーナーで観客の中のおばあちゃんがツッコんだりしてたので観客たちには話は通じてたようですが。
全部終わるころには夜9時を回っていました。公共交通機関のなさそうなこの場所で、これだけの、しかも酒も入ってるお年寄りたちはこれからクルマで帰るのだろうかと思ってたら、黄色いスクールバスが止まってて、それに乗り込んでました。なるほどスクールバスってこういう用途にも使われるんですね。
私はQuestに乗り込みポートランドに向けて帰路を急ぎました。アメリカの道路は夜になると街灯もなく(まあ日本の田舎道でもそうですが)ヘッドライトの明かりだけがたよりで、それなりのスピードで走っていると、ライトは上向きにしているものの、前があまり見えなくてけっこう怖かったです。しかも対向車もライト上向きにしてて、すれ違うときも下向きにしないもんだからまぶしくて…。おまけに途中で道をまちがえて、へんなところに迷い込んでしまったのでさぁたいへん…。治安が悪くない町だったのがせめてもの救いでした。
(続きます)
※フォートラベルにも旅行記を記載しています。
2 replies on “回転木馬とロブスター(2)”
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