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  • オー爺さんのチェロ

    府中の森芸術劇場で、劇団DREAM☆COMPANYの旗揚げ公演「オー爺さんのチェロ」を観る。 1992年、戦火にまみれたボスニアを舞台に、爆撃の犠牲となった22人の市民を追悼するために、サラエボ市内の通りで22日間にわたってチェロを弾き続けたチェロ奏者の実話をモデルとして、Jane Cutlerによって子供向けの絵本「The Cello of Mr. O」として書き下ろされ、ゴダイゴのボーカル(もう若い人は知らないかな……)をしていたタケカワユキヒデによって翻訳された「Oじいさんのチェロ」という絵本を、劇団DREAM☆COMPANYのプロデューサー・長澤千佳子さんの依頼によって、劇団A Musical Noteの三枝幹音さんが脚本、同じく山本伸幸さんが音楽、AMNの作品の多くで演出をしていた劇団東演の辰巳次郎さんが演出を担当し、ミュージカル仕立てに書き直したものである。 長澤さんとは昨年6月の劇団Nom’bの公演の際に面識があり、そのプロデュースする初の公演ということで、観に行くことになった。僕はこの日はキャンプ座間の桜祭りに行っていて、その帰りに府中に立ち寄ったのだった。 戦争で傷つき、今も戦火にさらされた町で、子供たちも同じように心が傷ついていた。子供たちは不安と恐怖におののきながら家の中で遊ぶ日々。主人公の少女タチアナもその一人。彼女の父親アーサーは戦争に行って戦っている。タチアナの家に住む世界的に有名な老音楽家、オー爺さんは、妻を亡くしたせいでひねくれた性格となり、日頃から子供たちに「オー!」と怒鳴り、辛くあたっていた。が、その地域に食糧を配給しているトラックを爆弾が破壊して多くの人々が亡くなり、生きる希望を失いかけたとき、オー爺さんはその向こう見ずな勇気で彼らを驚かせる。彼はチェロを持ち出し、敵の見ている前でチェロを町の人々に弾きはじめる。今まで彼に対してよい感情を持っていなかった町の人々は、その勇気に驚き、タチアナをはじめ町の子供は、その音色を聴くことによって心の傷が癒されていく。そのチェロもまた、爆弾によって壊される……。 音楽によって、生きる喜びを再発見する、というのが主要なテーマのミュージカルである。 戦争で戦っている兵士の迷彩服が、昼間に座間で見た米兵そのままだったので、思わず苦笑。昼のアーミーバンドの連中が1人ぐらい混じってたりして。 スタッフがほとんどAMN関係者だったこともあり、まるでAMNの公演を観ているよう。AMN特有のまっすぐなストーリーがここでも展開されていた。キャストの演技については、旗揚げ公演ということもあって荒削りなところもまま見られたが、オー爺さんを演じた元N響のチェリスト・丹羽経彦さんのチェロの重厚感が圧巻だった。 座間で買ってきたアメリカのお菓子を差し入れ。反戦演劇の場に軍のお祭りのお菓子を差し入れするのも微妙なところがあるのだが、まあ気にしない。僕のお気に入りのリグレーの「Big Red」という怪しいシナモン味のチューインガムを混ぜておいたら、三枝サンは 「私Big Red大好きなんですよ……これベストヒット!」 といたくお喜びだった。 今日の14時からの部が千秋楽。 【関連サイト】 Jane Cutler "The Cello of Mr. O" 日本語版「Oじいさんのチェロ」 Oじいさんのチェロ(タケカワユキヒデ オフィシャルホームページから) Oじいさんのチェロ(大空へ羽ばたけ) ミュージカル「オー爺さんのチェロ」4月8日初演決定(★いぬのほねのお城 わが城の再建計画) Technoratiタグ: エンターテイメント | ミュージカル | オー爺さんのチェロ | タケカワユキヒデ |