20分の儚い夢

お盆休みを利用して、実家に帰省していた。16日に京都に行ったので、ついでにこの日行われる有名な五山送り火(いわゆる、大文字焼き)でも見ようということにした。

送り火の点火は午後8時からということ。終わりの時間は明記されていなかったが(地元の人に聞いても、わからないとの返事だった)、まあ観光用のイベントでもあることだし、10時ぐらいまでは続くんじゃないだろうかと勝手に思い、四条河原町の居酒屋で9時ごろまで適当に時間をつぶしてから、四条通りの鴨川べりに繰り出した。

ところが、鴨川の上流の山のほうを仰ぎ見ても、どこにもそれらしき送り火は見当たらない。周りには送り火を見にきたと思われる浴衣姿の人たちが溢れているというのに、誰も送り火には関心なさげのようだ。
見物スポットがもっと別の場所にあるのかもしれないと思い、近くの駅の駅員さんに送り火を見られる場所はないか訊いたところ、

「送り火? もう終わっちゃいましたよ。マキをくべるだけですからね……20分ぐらいで終わっちゃうんですよ」

呆気に取られてしまった。

確かによく調べずに行ってしまったのが悪いのだが……それにしても、全国的に有名な年一度のイベントが、たった20分とは、余りにもさびしいな……。

しかも時間つぶしに立ち寄った居酒屋というのが、アラビア風の宮廷を模したところで、かといってアラビア料理が出てくるわけでもなく、アラビアンナイトのコスプレをしたおねーちゃんが

「ご主人様、いらっしゃいませ~」

などと言って出迎えてくる。

注文を聞きに来るときにも、呼ばれて出てくるたびにいちいち「ご主人様、お呼びでしょうか」などと言うのだが、そんなこっぱずかしい演出はいらないから、席の照明をもっと考えてくれ~と言いたかった。暗くてメニューも見えやしなかった。


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