47氏タイーホ

Winny開発の東大助手を逮捕 著作権法違反幇助容疑
P2Pファイル交換ソフト「Winny」の開発者で知られる東大大学院助手の47氏が京都府警に逮捕されたと報じられた。京都府警ハイテク犯罪対策室などの調べによると、群馬県高崎市の風俗店従業員らが昨年9月、Winnyを使って映画やゲームソフトを送信できるようにした疑いで著作権法違反の罪で逮捕されたのを受け、Winnyを開発した47氏をその「幇助罪」として逮捕したものである。
違法利用されるソフトの作成、所持そのものを取り締まる法律はない。今回の逮捕も、あくまで「著作権法違反の幇助」という容疑であって、そのような容疑事実を作り上げること自体、かなり無理のある解釈であるともいえる。一説によると、京都府警の内部の人間がWinnyを使って捜査情報を漏洩した事件があり、その意趣返しのために開発者の逮捕に踏み切ったという見方もある。
作製したソフトが違法利用に転用されたからといって、そのソフトを作成した人そのものが逮捕されるというのは、国内に例がなく、また世界的にも違法利用されたソフトの作成者に対して有罪が言い渡された例はない。
作ったものが悪用されたからといって、その作成者を罪に問うことは果たして妥当なのか。いわば、包丁を使った殺人・強盗事件が多発していることを理由に、包丁メーカーや、包丁の発明者を逮捕するようなものであろう。京都府警の勇み足という批判も免れまい。
問題は、PCやインターネットに関する理解に乏しい組織が、権力を振り回して国民を取り締まることにある。また、自らの権益を守るために、それを脅かすものを力ずくで叩き潰そうとする姿勢にも、国民の反発が出ている。
技術を開発する過程で問題が出たならば、それを潰してしまう方向ではなく、問題を解決するような利用法を模索することが技術の発展に重要である。今回の一件が、必要以上にソフト開発業界を萎縮させ、日本のP2P技術の発展に悪影響が出ないことを祈るばかりである。
【関連ブログ】
47氏逮捕(ぷじろぐ)
Winny作者逮捕される (活字劇場)
いい加減色物タイーホは止めませんか? 京都府警さん (raijinの日記)
ウィニー開発の東大助手を逮捕 (お掃除日記@掃除しろ!)
Winnyの作者 (Nitty-Gritty)
「著作権法への挑発的態度」が逮捕理由 (Ikaga?::MT)

*** Extended ***

【2004/5/11追記】
Winnyを「包丁」にたとえることは適切ではないという意見もある。
Winnyは包丁か刀か(おいらブログ)
違法なファイル交換を前提として作られたWinnyは、調理など有益な目的に使用される「包丁」ではなく、同じ刃物でも人を殺傷する目的に特化した「刀」とみるべきであると述べている。刀で野菜を切ることもできなくはないが、刀の本来の目的は人を斬ることにあるというべきであって、そのような目的で作られた刀はやはり違法であり取り締まられるべきである。Winnyも同様に、その主たる目的が違法ファイル交換である以上、それは取り締まられるべきであり、その製作者もやはり責任は免れない、というのである。
この主張自体にはうなずけるところが多いのだが、問題なのは、その「包丁」と「刀」の線引きが、まったく公権力の匙加減にゆだねられているところにあるといえるだろう。
【2004/5/12追記】
この件について、新聞各紙も社説を述べている。
まず、毎日新聞の社説。毎日新聞は、「複写機で本や雑誌など著作物をコピーした場合、複写機のメーカーが著作権侵害したことになるのだろうか。」と、Winnyを「複写機」にたとえて今回の逮捕にはっきりと異を唱えている。既存の著作物の権利を強く守るあまり、若いソフト開発者の開発意欲を萎縮させ、新しいビジネスの可能性を妨げることを危惧している。
それに対して、保守系メディア代表の読売新聞では、逮捕された47氏の行為を「確信犯的で、極めて無責任である」と斬って捨てている。
Winnyがこれまで違法コピーに使われてきた事実を重く見て、Winnyそのものを危険視する論調である。そして、「映画や音楽CD、ゲームソフトなどの関連業界が、違法コピーを封じる保護の仕組みを築くことが先決だ。」と、あくまで権力側・業界側の立場に立った主張をしている。
朝日新聞でも、「Winnyを使ってやりとりされている多くは、著作権のある作品だ。それをないがしろにするような意図をもって公開したことがはっきりすれば、開発者の責任が問われてしかるべきだ。 」と、開発者の責任に言及している。警察の対応の是非について特にコメントはなく、Winnyそのものについては、「発信者も受信者もわからないからといって、著作権のある作品をやりとりすることは法律に触れる。気をつけよう。」とあくまで傍観的な立場である。
タカ派新聞として知られる産経新聞の社説は、意外なことに、毎日新聞に近い主張だった。
助手の逮捕劇には、違法コピーが常態化しているネット社会に“一罰百戒”的な警鐘を鳴らしたいとする取り締まり当局の狙いがありそうだが、その効果については疑問視する見方をしている。「問題はネット技術の進歩に制度面の対応が追いついていないことである。著作権管理についても実態に即した在り方が求められている。」と、超保守系メディアにしては珍しく、わりと「新しい」考え方なのが興味深い。

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2 Replies to “47氏タイーホ”

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