死ぬこと,生きること

毎日,朝になると満員電車にゆられて会社に行き,仕事をして,夜になると帰宅する。昨日と同じように,今日も,また明日も,同じことが繰り返される。僕たちにとってみれば,そんなことはごく当たり前すぎることであって,普段は「今日も自分は生きているんだ」などといちいち意識してるほど暇じゃないし,ましてや「今日,ひょっとしたら自分は死ぬかもしれないんじゃ・・・」なんてこといちいち考えたりしない。
けど,突然命を落とす可能性は誰にでもあるわけで,特に現代は,健康であっても,まだ若くても,事故や事件に巻き込まれていきなり人生の最期の日を迎えることも十分起こりうる世の中なんだよね。
4人が犠牲となった3月8日の中目黒での脱線衝突事故を聞いて,ふとそんなことを思った。この事故で亡くなった人たちは,朝いつもと変わらずに普段通りに起きて朝食を摂って身支度を整えて家を出て電車に乗って,電車の中で新聞や文庫本を読んだり,寝ていたりしていたんだろう。まさかその日に人生の最期を迎えようとは夢にも思わなかったに違いない。否,事故に遭ったその瞬間にさえも,自分の身に何が降りかかったか十分呑み込めないまま,確かめるすべも持たずこの世を去っていったんだろう。朝,変わらず元気な姿で家を出たのに,夜には変わり果てた姿になって無言の帰宅をしたわが子,わが妻を目の当たりにした遺族の心痛,いかばかり。
99年9月の池袋通り魔殺人事件にしても同じことが言えるわけで,普通に歩いていたのに,いきなり降ってわいたような災難に巻き込まれ,ホントに突然,人生を強制終了させられたわけだ。
特にこれらの事故・事件は僕の生活圏内で起こったことだけに,一歩間違えれば僕自身が巻き込まれる可能性があったわけで,決して他人事とは思えない。特に同じ年代の方が犠牲になるのを見ると,胸がつぶれる思いだ。亡くなった方々には言葉もない。
こんなこと言ってる僕だって,何度もすんでのところで命拾いしている。阪神大震災のときには,寝る位置があと50cmずれていたら,間違いなくタンスで頭をつぶされていただろう。学生のころ,地元のホテルでバイトしていたんだけど,そこで地元の暴力団の某若頭がチャカで撃たれ,その若頭は即死,隣のテーブルに座ってた歯科医が巻き添えを食って亡くなるという事件があった。幸いその日にはバイトが入っていなかったんだけど,もしバイト中に事件が起こってたらと思うと,今でもぞっとするね。
特に大都会は,常にいろいろな危険と隣り合わせだ。夜の盛り場はもちろんのこと,車を運転中でも,電車や飛行機の中でも,学校や会社の中でも,病院の中でも,どこにいても,生命を失う可能性は常にひそんでいる。それは交通事故であったり爆弾テロであったり毒ガステロであったり通り魔であったり,はたまた
高速道路を走っていて前から鉄板が飛び込んできたり
することもあったりする。
じゃ家の中に閉じこもっていれば絶対安全かといえば,阪神大震災の例をひくまでもなく,突然一発大地震が来て

天井ごと落っこちてくることだって

ある。隣の家が火事を出して逃げ遅れて煙を吸っちゃうことだってあるかもしれない。現代人にとって,もはや絶対安全な場所はないといっていい。
そういうわけで,今の世の中,

人間,いつ死ぬかわからない

と言っていい。生きている限りいつか死ぬのは当たり前なんだけど,それがいつなのかは予測することができないわけで,今日死ぬかもしれないし,明日かもしれないし,50年後なのかもしれない。
では僕たちはいったいどうすればいいのか。死を恐れながら毎日びくびくして暮らさなければならないのか。
僕の考えたソリューションは,

1.覚悟を決めること

人の生死を決められるのは自分自身でなく,神仏や,あるいは人を超えた力の巡り合わせであると自覚すること。同じ事故や災害に遭っても,命を落とす人もいれば,間一髪助かる人もいるわけで,その差は,ほんとに紙一重である。今回の中目黒の事故にしても,たまたま被害に遭ってしまった人もいれば,この日に限って乗車位置をたまたまいつもと別のところにしたために助かったという人もいる。そして,その運命は,自分自身で制御できない。いくら気をつけていても,助かるときは助かるし,ダメなときはダメなのである。潔く運命を受け容れることである。

2.悔いを残さないこと

今日できることを明日まで延ばさないこと。明日はないかもしれないのだから。楽しいことは後にとっておかないで,すぐにやってしまったほうがよい。将来に向けて備えることも大切だが,今を楽しむということも忘れないようにしたい。そして,いつ命がなくなっても悔いのないように,1日1日を精一杯生きること。
さて僕自身はどうかというと,正直なところ,1日1日やり残しの連続だし,ノホホンと毎日過ごしてるので,とても精一杯生きているとはいえない(苦笑)。うーん,まだまだ死にきれそうもないようだ;


P.S. ちなみに,中目黒駅で事故に遭った竹ノ塚行きの上り電車には,実は僕も乗ったことがある。1月に会社の研修があり,竹ノ塚行きの日比谷線に乗って広尾まで行っていたのだ。研修が始まる時刻は朝の9時半だったから,時間的におそらく事故に遭った電車と同じだったと思われる。もし研修の日程がずれていたら・・・まあ,乗ったとしても恵比寿からだから,関係ないといえば関係ないが;

Pocket
Bookmark this on Delicious
LINEで送る